この記事を読んでいただきたい方:
デッキプレート腐食を放置するとどうなるか調べているオーナー様、腐食の原因を調べたり、補修による延命ができないか模索されているオーナー様向けの記事です。
ガレージや共用廊下などで使用されているデッキプレートは、スラブ床を形成するための建築資材です。築年数のある建物(設備)では、腐食トラブルになることがあります。
解決策はいろいろありますが、派手な工事をせずに一定の強度を確保する補修方法もありますのでご紹介いたします。
「デッキプレートが錆びる原因?放っておくとどうなる?補修方法は?」
こちらのお悩みに一気にお答えする記事です。
デッキプレートの腐食の原因は浸水
デッキプレートの腐食は、主に「浸水」や「漏水」が原因です。特に、ガレージの真上が浴室や水回りになっているケースは要注意です。床からの浸水が起こりやすく、内部のデッキプレートまで浸水すると腐食が始まります。
目に見えないわずかな隙間からの漏水や、湿気が天井裏にこもり、結露を発生させることで、デッキプレートは常に錆びやすい環境に晒されています。天井裏は普段見えないため、気づいたときには腐食が深刻に進行していることが多いです。
デッキプレートの腐食を放置すると床抜け危機
デッキプレートは、単なる天井板ではなく、建物の床を支える重要な構造体の一部です。腐食を放置すると、以下のような深刻な事態を引き起こす可能性があります。
- 床を維持できなくなる:サビで薄くなった鉄板は強度を失い、上階の荷重を支えきれなくなる恐れがあります
- 漏水の拡大:腐食によって生じた穴から水が浸入し、ガレージ内の車や物品を汚損します
- 崩落の危険性:腐食が進行し、鉄骨梁との接合部まで侵されると、天井の一部が崩落する危険性もゼロではありません
「まだ大丈夫だろう」と油断していると、ある日「ガターン」と音がしてデッキプレート落ちたというご相談を受けたこともあります。
大きな事故につながる前に、早めの対策をオススメします。
実践:腐食デッキプレートの補修工事
デッキプレート腐食を、頑丈な鉄骨で補強する工事の事例です。工事後にボードで化粧されることもあるので、とにかく強度優先で、鉄骨を増設して補強をします。
以下、工事の流れです。
ステップ1.デッキプレート腐食環境を確認
こちらのケースでは、デッキプレートがボードで化粧をされていてデッキプレートを目視できなかったので、怪しい箇所を解体していただき、腐食状況を確認します。
排水パイプ付近の腐食が強く、また、構造鉄骨とデッキプレートの接点がひどく腐食しています。
2.既存鉄骨を活用して補修パーツを増設
既存の鉄骨梁にスチフナを増設します。鉄骨自体の強度補助の目的もありますが、このあとのデッキプレート補強作業の起点のために、要所に増設していきます。
3.デッキプレートを支える新たな骨格作り
先ほど固定したスチフナから、新しい鉄骨の梁を増設します。既存の梁と梁の間に、新たな梁を設けてデッキプレートを下から支えます。
さらに、梁同士をつなぐ「小梁」を作って、梁そのものを支える補強構造としました。これにより、長期にわたる荷重にも耐えうる、頑丈な骨格を再構築します。
4.ボードを戻して工事完了
オーナー様からのご依頼でボード復旧までお引き受けしました。見た目は元通りになったわけですが、天井裏は以前とは比べ物にならないほど強固になっています。10年以上問題なく使えるはずです。
まとめ:激しい腐食になる前に
ガレージのデッキプレートの腐食は、「見た目」と「生じるリスク」が正反対な資材です。
「なんか腐食しているけど、普通に使えてるから大丈夫でしょ」と放置していると、派手な工事でしか解決できなくなります。
早期に発見し、適切な補強・補修を行えば、大規模な交換工事をせずとも、建物の安全と資産価値を十分に守ることが可能です。少しでも不安に感じたら、一度専門家にご相談ください。
ご自宅ガレージ(デッキ)補強をご検討のオーナー様、お気軽にお問い合わせください。
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要約Q&A
Q:費用はどれくらいかかるの?
A:数十万円の範囲です。腐食の範囲や建物の構造によって費用は大きく上下します。また、天井や床をすべて解体して交換する工事に比べ、費用は3分の1以下です
Q:どれくらいもつの?
A:これも、工事状況によるのですが、今回ご紹介した工事は10年以上は期待できます
Q:工事期間は?工事中は歩けるの?
A:解体から復旧まで含めて数日〜1週間程度が目安となります。また、工事中でもご使用いただけるように段取りして工事予定を組みます。ただし、工事期間中はガレージ内の車両やお荷物の移動をお願いすることが一般的です