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鉄骨階段踊り場の腐食に関して必要な知識

この記事を読んでいただきたい方:
外階段の踊り場に錆びや穴を見つけて補修工事の流れや注意点を知りたいと考えているオーナー様、専門業者に依頼する前にどのような工事が行われるのか?費用事情はどうなのか?などの概要を把握したいオーナー様に向けた記事です。

踊り場の床鉄板

外部階段の踊り場にある床鉄板が腐食して穴が開いた際の補強工法を解説します。床鋼板交換時の注意点と工事の流れをまとめました。

どうして踊り場の鉄板は錆びやすいのか

腐食劣化で床鉄板に錆び穴が空いた

「階段の踊り場に使わている床板が錆びて穴が空いた」というご相談をよくいただきます。この状況の原因は、経年劣化の負の影響を受けやすいからです。

  • 床面は雨水(湿気)の停滞時間が長いこと
  • 床板に使われる鉄板は厚みが3.2mm(厚くても4.5mm)で、ほかの部位と比べて腐食の影響を受けやすいこと

錆びを放置すると、鉄表面が酸化して徐々が薄くなり、歪み(ひずみ)が生じて歩行時にフワフワしたりして、最終的には穴が空きます。築10年超の設備によっては踊り場床面が部分的に膨らんだり穴が開いたりすることが多い印象です。

参考:鉄板(鋼板)に関する解説
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8B%BC%E6%9D%BF

また、床鉄板にあらかじめ穴を空けていることもあります。「水抜き穴」と呼ばれます。床面に雨水が停滞しないようにするものですが、ここから腐食が始まるケースもあります。「水抜き穴」は腐食対策としても採用されることがありますが、その効果は使用環境や構造によってケースバイケースだと思います。

踊り場の床鋼板の交換工事の流れ

鉄骨階段はプラモデルのように板やパイプやH鋼で組み立てられているためめ、トラブルが起きた部分だけを交換することができます。そこで今回は「穴の空いた鉄板を交換する工事」を写真付きで紹介いたします。

踊り場の床を撤去するイメージ1

踊り場の床鉄板の撤去後に、「床を支えるフレーム」が露出するので腐食状況を確認します。この下地フレームが強度健全であれば、そのまま新しい鉄板を敷いて溶接すれば工事完了です。

床鉄板の交換工事イメージ

もし、下地フレームが強く腐食している場合は下地フレームも一緒に交換することができます。以下が、下地フレームが腐食している写真です。

注意:床鉄板を剥がす機会はほとんどなく、この行為をしないと下地フレームの損傷は確認できません。下から見上げて大丈夫そうでも、床鉄板に接触している部分が錆びていることがよくあります。

露出した床鉄板の下地フレーム

露出した床鉄板の下地フレームです。鉄板に接触する部分がボロボロになっているので歩行時に「なんだかフワフワする」と感じることがあります。オーナー様も「こうなっているのか・・」と驚かれていました。この機会に下地フレームごと交換します。

床鉄板の下地フレームを交換

床鉄板の下地フレームを交換しました。これで新しい床鉄板を載せても安全性を確保できます。

新しい床鉄板に交換完了

最後に新しい床鉄板を敷いて溶接固定して完了です。階段の踊り場は無事に延命されて今後も安定した資産運用ができるようになりました。

踊り場腐食問題に関する工事ポイント

踊り場の床鉄板(工事前)

新しい床鉄板に交換完了

踊り場床の補修工事でオーナー様が把握しておくべきポイントは下記です。

  • 部分交換のメリット: 鉄骨階段は部分的に交換可能な構造であるため、問題箇所のみを交換することでコストを抑えられます
  • 下地フレームの重要性: 床鉄板だけでなく、その下のフレームも同時に診断・交換することで、階段全体の安全性を確保し、延命につながります
  • 専門業者への相談: 階段全体の交換は現実的ではない場合が多いため、部分的な補修工事の実績がある専門業者に相談することをお奨めします
  • 居住者様への動線管理:交換する鉄板の場所によっては居住者様の生活動線になっている可能性があります。工事依頼する業者には「最小限の使用制限と安全対策」を求めることが大切です

鉄骨階段の踊り場床鉄板の交換工事の流れを解説させていただきました。日常では確認することができない床下地フレームの状況もケアできて良かったです。大きな鉄骨階段であっても、小さな鉄骨階段であっても錆びトラブルに対して簡単に「階段ごと交換」とはいかないものです。補修補強専門の鉄工所までお気軽にご相談ください

作業工程も同時に公開している参考ページ:鉄骨階段の「踊り場の交換」いたします

階段踊り場の現状(鉄骨サビ度:★★★★☆...

要約Q&A

Q:鉄骨補修は「ダメなところ」だけを交換できる?
A:はい、構造的にプラモデルのような作りなので腐食部分だけを交換できる可能性が高いです。既製品とは違って「ダメなところ」だけ交換して継続運用が可能です。

Q:床鉄板の腐食を業者に相談するタイミングは?
A:錆びの影響で、鉄板の厚みがなくなってくるくと強度が落ちています。鉄板に微妙なデコボコができたり、歩行時になんとなくフワフワすると感じたら業者に相談したほうが良いです。

Q:床鉄板補修工事の費用は?
A:鉄板のサイズや下地補修と絡むので明確に数字にはできませんが、踊り場全体の交換工事という費用からすれば半額か3分の1で完了できないと意味がないと思っています。

Q:工事中、踊り場は使えなくなる?
A:まさに「いま交換しています!」という間は使えませんが、日にちを挟んで工事が必要になった場合は、ひとます歩行できる状況に暫定措置をして現場を離れますので、工事が終わるまで使えないという状況にはなりません

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