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大型の横引き門扉の重量戸車を取り替える

この記事を読んでいただきたい方:
横引き門扉の開け閉めが重くなった原因が戸車(車輪部)にあり、これを交換する業者を探されているオーナー様にお役に立つ記事です。

お問合せのあった横引き門扉の現状:
「校門の横引き門扉の戸車が重くて動かない!」と学校施設からのお問合せ(私の母校でした)。大型引き門扉が老朽化してキャスター戸車にかかる荷重摩擦がかかり、戸車も腐食で消耗して固まっていました。

横引き門扉の修理方法:
戸車を交換するためにクレーン車で門扉を吊り上げながら、修理作業がスペースに移動します。既存の固まった戸車を撤去して新しいものと交換します。ほか、門扉フレームの腐食を溶接補強しておきます。これで門扉が片手でスイーと開けられるようになります。

この工事の相場費用について:
鉄骨の腐食ダメージの具合や工事条件がまちまちであるため、工事費用も現場ごとに異なります(現場調査が必要です)。お見積依頼等お気軽にお問合せください。

大型門扉をクレーンで吊りあげる

クレーンで門扉を移動する

大型門扉は戸建ての門扉と違って人力では持ち上がりません。200kg以上の重量があります。そうなると戸車(車輪)にかかる荷重も大きく摩耗(消耗)も早まります。錆びて戸車がスムーズに動かなくなると「開けにくい、開閉が重たい」というトラブルにつながります。

そこで、修理工事では摩耗した戸車の交換を行います。

戸建ての門扉であれば手で持ち上げて自社工場に持ち帰って作業をするのですが、サイズが大きいため門扉をクレーンで吊り上げながら安全なスペースに移動して、その場で修理工事を開始します。

問題の戸車を撤去して劣化状況を確認

腐食摩耗した重量戸車

門扉をひっくり返してようやく、キャスター戸車の劣化具合を具体的に確認できます。車輪の溝が摩耗して細くなっています。荷重で回転しにくいだけではなくキャスター戸車自体がサビて回転しません。この症状が原因で門扉の開け閉めが重くなっています。

劣化した門扉戸車の撤去

既存の戸車を解体撤去します。サビ腐食でボロボロなので、あっという間にポロンと取れてしまいます。門扉を支える4カ所の戸車を順番に撤去します。

バランスがあるので戸車交換をする際は「同じタイミングで全部交換する」必要があります。古い戸車と新しい戸車を一緒に使うと、高さが微妙に違うので動作も不安定になってしまうのです。

戸車の交換

左が新しく交換するキャスター戸車。右が撤去した古いキャスター戸車。おそらくこのキャスターは20年以上に渡り学生の安全を守ってくれました。長い間おつかれさま!

新しく交換する戸車は「重量戸車」といって大型の引き戸門扉に使われる戸車です。ヨコヅナ様の戸車に新調しました。ステンレス製など用途に合わせてたくさんの戸車があります。

参考:ヨコヅナ社の重量戸車

https://copilog2.jp/yokoduna/views/detail/31/74/

溶接作業で門扉の戸車交換を開始

門扉の溶接補修工事

溶接作業で新しい重量戸車に交換します。通行する人(主に生徒さん)に溶接の火の粉が飛ばないように誘導しつつ、クレーンで門扉を回転させながら慎重に作業していきます。現地作業は工場と環境がいろいろ異なるので、工事以外の安全確保に気を遣うことが多いです。

劣化した戸車を撤去するとたいてい撤去部分の鉄フレームが腐食しているので、合わせて下地補修を加えながら新規戸車を溶接できるようにします。

キャスター戸車の溶接交換

新しい戸車と門扉のフレームの間に鉄板を挟んで下地補修を済ませておきます。錆びて弱っているところより少し大きめの鉄板を溶接するだけで下地補強になります。別に丸ごと交換しなくても、腐食患部だけを部分交換できるのが鉄製品で良いところです。

コストを抑えて長く製品を使えるのが鉄製品のメリットです。「錆びるからアルミの方がいい」というのは、ちょっと理屈が違うな、修理すればアルミより長く使えるのにな・・と鉄工所は思ってしまいます。

重量戸車修理完了

これまで書いてきた流れで重量戸車をひとつずつ交換していきます。門扉を仰向けにして作業できるので工事は順調にいきました。戸車の溝の太さが違うのが一目瞭然ですね。

重量戸車のアップ

仕上げの塗装も終わって、新しいキャスター戸車に交換できました。これでスイスイ門扉が動きます。

門扉フレームの腐食にも溶接補強を行う

門扉の錆び穴

門扉をひっくり返すタイミングは数年に1度あるかないかです。こんなときでないと気が付かない錆びトラブルが各所に見つかります。

フレームの角部分には浸水などで発生した腐食が集中したり、また、専門的に言うと溶接加工部分がそもそも素材として改悪されるので錆びに弱いのです。

門扉のサビ穴補修

腐食部分を鉄板で溶接補修しました。ひとつの前の写真と見比べてください。

補修工事は、当初の目視以外のダメージを想定して現場作業を進める必要があるので、解体しながら状況に応じてベターな工法に修正します。このため、工場から各種鋼板を予め用意して想定外の腐食にも現場溶接で対応していく必要があります。

門扉の丸落しの不具合

こちらは門扉の「丸落し(フランス落とし)」と言われる部分。門扉を閉めたときに地面に杭のように棒を落とし込んで施錠するのですが、この丸落としも機能しておらず、また周辺のフレーム鉄骨にもサビ腐食が・・・。

丸落しの修理補修

こちらも溶接補修を済ませます。

鉄骨の修理工事では、調査時はわからなかった隠ぺい部分の腐食を見つけることがあります。これらをある程度想定して、余分な補強パーツを用意しながら臨機褒貶に補修していく必要があります。

補強工事がされた横引き門扉

ひととおりの工事が終り、戸車交換ができたらクレーンで門扉を吊りなおして、もとの場所まで移動します。既存のレールにもしっかり乗せて修理は無事完了。

お問合せをくださった職員の方も実際に動かしてみます。片手ですーっと開きます。「アルミに交換することと比べたら早期解決、費用も安く済んで良かった」と喜んでくださいました。なかなか鉄工所に問い合せることってないですものね。

※思わぬ母校への恩返しになりました

工場や施設などの両開き門扉の補強も行いますので合わせてご覧てください。

参考:工場の両開き大型門扉を修理する

工場門扉の現状(鉄部サビ度:★★★★☆)...