この記事を読んでいただきたい方:
外階段の踏み板がサビて外れたり、破損してお困りのアパートオーナー様向けの記事です。
「アパートの外階段の踏み板が錆びて落ちそう・・」「居住者様が怪我しないか心配だ・・」
そんなお悩みを抱えるアパート・建物オーナー様はいらっしゃいませんか?
この記事では、外階段の踏み板(ステップ)のサビや、破損の原因について、専門の鉄工所が解説し、効果的な補修方法とその判断基準についてご紹介します。コストパフォーマンスの高い長寿命化を実現しましょう!
この記事でわかること
- 踏み板のサビ・破損、「どうしてそうなったのか」
- コスパ最優先、費用を抑えた鉄板製踏み板への交換とメリット・デメリット
- 適切な耐水措置と塗膜が、メンテナンスコストを低空飛行のまま効果を維持する
- 建物の維持計画に合わせた合理的な補修工事こそ、費用管理のコツ
目次
外階段の踏み板破損。外れた原因はモルタル劣化。
鉄骨階段の踏み板が破損する原因は、ほとんどの場合、経年によるサビ腐食です。ではなぜ、サビが発生し、進行してしまうのか?その因果関係を把握しておけば、業者の工事見積を適切に理解できるし、費用対効果の高いメンテナンスを達成できるはずです。
先日、外階段の劣化SOSのご相談を受け、現場調査に伺いました。
下から3段目の踏み板が片方落ちてしまっている状況です。これは、長年のサビ腐食によって踏み板を支える部材が劣化し、最終的に外れてしまったケースです。
外れてしまった踏み板を見てみると、ササラ桁(階段の側桁)との接合部分が茶色くサビており、破損直後だったため、その痕跡がはっきりと確認できました。
居住者様や配達業者がここで踏み外して怪我をしたら・・冷や汗がでます。
詳しく原因を探るべく、階段全体を見てみると、踏み板のあちこちに苔が生えているのがわかります。この苔は、踏み面のモルタルが老朽化し、細かいクラック(ヒビ)や隙間から湿気が入り込むことで発生します。築40年前後のモルタル床面によく出てくる光景です。
サビのトラブルは、外から目視確認できる段階から、内部で見えない問題に至り、最終的には人的被害に繋がります。苔などを確認した場合は、下記のような因果関係が想定されます。
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モルタルの亀裂から雨水が浸入、苔が発生
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踏み板内部の鉄骨が常に湿った状態になる
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鉄骨がサビて腐食が進行する
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最終的に踏み板が破損・脱落する
「因果関係を突きとめること」は、復旧工事の費用対効果の最大化、捻出費用の最小化のために不可欠です。場当たり的な補修は、無駄な出費につながりかねません。原因の解決に特化した補旧工事こそが、高い効果を得ます。
踏み板をコスト安な鉄板製に交換。見た目から安全性へ。
今回のケースのように、踏み板が脱落するほどの深刻なダメージがある場合は、踏み板そのものの交換が必要です。既存と同じモルタル製の踏み板に戻すと費用が高額になるため、鉄板製の踏み板への交換をご提案しました。
ここで、「踏み板を鉄板製に変えるメリット・デメリット」を箇条書きにします。この点はオーナー様のご判断となります。
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鉄板踏み板のメリット
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メンテナンス性の高さ: 通気性が良く、腐食の早期発見が可能です
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補修費用が安い: 加工費が抑えられ、全体的な工事費用の軽減ができます
- 資材費も安い:使用する資材が少ないので、工事費用を節約します
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耐久性: 適切に塗装すれば、長く使用できます
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鉄板踏み板のデメリット
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歩行音が大きくなる: 歩行時に「カンカン」という靴の音が響きやすく、交換前と比べて歩行音が目立ちます
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見た目がやや劣る:モルタル床タイプの踏み板と比べて、やや見た目がグレードダウンした印象を持たれるかもしれません
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工事で撤去した「もともとの踏み板」の写真です。モルタルの下の鉄板が完全に機能不全になっていることがわかります。これが現実です。
これほどまでにサビが進行していると、鉄骨の強度にとって非常に深刻な状況だと言えます。ぱっと見ではわからなくても、常に荷重がかかる踏み板は、経年劣化に注意が必要です。利用者様の怪我や事故(人的被害)に直結するリスクがあるため、早期の対応が求められます。
参考:アパート通路崩落、警官6人重軽傷 函館市:日テレニュース
安全性確保のための、塗膜コーティングと耐水措置
踏み板の交換工事が終わりました。このあとは、補修効果を長くキープするための作業です。主な作業としては「鉄部塗装」と「モルタル耐水措置」です。また、鉄設備のメンテナンス時期はおよそ8年前後なので、計画的な費用分散にしたいところです。
鉄骨部分の塗装コーティング
補修が完了した鉄骨部分には、仕上げのウレタン塗装でコーティングを行います。外部の鉄骨の塗り替え目安は8年前後と言われています。新しく交換した踏み板のためにも、ウレタン塗膜で保護することで、鉄骨設備はまだまだ現役として活躍できます。
モルタル部分の耐水処置
苔が生えていた廊下も、下地調整(床面の苔を削り取り、モルタル補修)を行った後に、耐水効果のある長尺シート(タキステップ / タキストロン)を施工します。これは、老朽化したモルタルの上からシートを被せることで、モルタルへの雨水浸入を物理的に防ぐ効果があります。
長尺シートと鉄骨のすき間にも、専用のタキシール材を注入して耐水を徹底します。シールの寿命も8年前後が相場といえますので、長尺シートの耐水効果を維持するためにも、計画的な運用をしていくことをオススメいたします。
これで踏み板を含めた、外階段の補修工事は完了です。
今回の工事によって、この外鉄骨はあと15~20年の維持を見込むことが可能です(ただし、8年前後を軸とした定期的なメンテナンスは必要です)。アパートの残り維持年数と帳尻を合わせやすい、合理的な補修プランと言えるでしょう。
まとめ:
無駄に補修しないで、ポイント絞って、賢く運用。
外階段のサビ破損に対する復旧・延命工事は、建物の維持年数を基準に考えた「合理的な工事費用の使い方」が非常に重要だと考えます。
補修工事や補強工事で延命する場合、既存の鉄骨やモルタルをそのまま活用するため、丸ごと交換する費用の3分の1から半額程度で実現できることも少なくありません。
しかし、良いことばかりではありません。既存鉄骨を再利用するため、老朽化を完全にリセットはできないし、外観も新品のような状態を維持できません。
この辺りは、建物の維持年数(計画)と現在の鉄骨ダメージを慎重に天秤にかけ、合理的な判断が求められます。
「うちの階段はどんな状態だろう?」「最適な補修方法がわからない?」
鉄骨のサビ破損でお困りの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。現場調査を行い、お客様の状況に合わせたプランをご提案いたします。
要約Q&A
Q:アパートの外階段の踏み板が破損する主な原因は何ですか?
A:90%以上、経年によるサビ腐食が原因です。モルタルの亀裂から雨水が浸入し、モルタル内部に湿気が停滞して、内部の鉄骨がサビて腐食が進んでいきます
Q:踏み板が脱落するほどのダメージがある場合、どんな補修方法が考えられますか?
A:コストパフォーマンスを考慮すると、既存のモルタル製踏み板から鉄板製踏み板への交換が推奨されます。見た目よりも安全性を優先した工法といえます
Q:従来のものから、鉄板製の踏み板に交換するメリットは何ですか?
A:メンテナンス性の高さ、補修費用や資材費の安さ、適切な塗装による耐久性の高さが挙げられます
Q:従来のものから、鉄板製の踏み板に交換するデメリットは何ですか?
A:歩行音が大きくなることや、モルタル製に比べて見た目がやや劣ることがデメリットとして考えられます
Q:従来のものから、鉄板製の踏み板に交換するデメリットは何ですか?
A:歩行音が大きくなることや、モルタル製に比べて見た目がやや劣ることがデメリットとして考えられます
Q:計画的なメンテナンスの目安はどのくらいですか?
A:鉄骨部分の塗り替えやシールの寿命は、およそ8年前後が目安とされています
Q:外階段のサビ破損に対する補修工事で重要な考え方は何ですか?
A:建物の維持年数を基準に、建物の寿命と帳尻を合わせることが、費用面でのコツかと思います。補修工事は「合理的に、効率的に、現実的に」行う対処療法の作業です。そのなかでもコストをいかに有効に使うかが大事と思います
Q:この記事の工事に、どのくらいの費用がかかる?
A:溶接工事だけであれば30万円前後です。ほか、塗装や耐水工事、足場など必要に応じて費用が追加されていきます
Q:この記事の工事は、どれくらいの時間がかかる?その間、階段は使えないの?
A:今回の工事は塗装や耐水まで含めれば1週間から10日ほど必要ですが、この期間に階段が使えなくなることは、ほぼないように工程を組んで工事をしています