この記事を読んでいただきたい方:
鉄骨錆びにお悩みの築40年前後の築古アパートのオーナー様や、鉄骨廊下が錆びてボロボロで「交換しかないのか」と頭をかかえるオーナー様に、アパートの階段や廊下が崩落して居住者への賠償問題に悩むオーナー様に、延命補強の可能性を感じてもらえると思います。
放置され続けてほぼ40年のアパート廊下鉄骨
地元の工事業者に修理の相談をしても「これは無理」と断れてしまったオーナー様が、弊社のHPを見つけてくださいました。築40年超のアパートの共用鉄骨廊下のご相談を受けて現地に伺ったのですが、衝撃的な腐食が広がっていました。床の崩落事故がいつ発生してもおかしくない状況です。
転落事故や床抜け事故の発生は、廊下の床を支える鉄部の腐食によって強度が著しく減退して、床を支え切れずに構造そのものが瓦解してしまう状態です。
ニュースでもよく出てくる転落事故ケースです。「アパートの廊下が崩落。3m落下した2人重傷・(読売新聞)」
これまで鉄鋼補強をしたことがなかったようで、40年分の腐食によって廊下外周部の鉄骨(胴差)は深刻な強度危機に陥っています。棒で突くとパラパラと鉄が落ちてきて、オーナー様もかなり危機感を持っています。
鉄骨廊下を横に回ってみると、廊下外周フレームは奥まで強度ゼロの状態です。これでは溶接補強も、塗装コーティングも、施工不可能で補修効果の見込みはありません。
しかしながらオーナー様にもご事情はあります。オーナーチェンジがあったり修理を見送ってしまったこともあるのでしょう。だから、オーナー様は補修工事に下記の効果を求めるわけです。
1.工事費用は安く(建物の維持年数からコスパ重視!)
2.交換工事は居住者の生活に負担をかけてしまうから無理!
3.できるだけ居住者の利用制限なしで補修工事を進めて!
4.とにかく、なんとかして!
本来は、腐食部の補強溶接や塗装、腐食ルートへの耐水措置を経て延命工事を行うのですが、このケースではどの方法も使えないことがわかりました。他社さんが嫌がるのも仕方ないとは思います。
崩落回避の緊急補強工事のネタバラシ
溶接補強や塗膜コーティングが難しいので、あれこれ考えた結果、比較的腐食の軽い「廊下の鉄柱」を基点に補強策を思いつきました。
廊下の鉄柱の一部は、廊下フレームからの腐食浸食を受けにくい構造になっていたことが幸いしました。これで緊急補強方法が決まりました。
既存の廊下鉄柱同士を新設する梁で緊結。さらに、この梁が廊下を下から支えることで、廊下の崩落リスクを軽減します。
この写真が実際の工事風景です。
あくまで、この補強策は「緊急手段」です。塗装も耐水措置もできないので延命効果は限定的となってしまうのですが、ニュースに出るような廊下の崩落事故リスクを大きく減らすことができました。
階段の踊り場も同じ工法で緊急補強
階段の折り返し部分となる「踊り場」も、廊下と同じような構造で腐食状況も同じ状況だったので、廊下同様に通し梁を増設しながら踊り場鉄柱と緊結しました。これで床抜けや崩落事故の危機を暫定的ながら延命できました。
崩落事故や怪我の危機に、鉄工所として向き合えること
鉄骨設備の補修は経験がものをいいます。鉄の構造や荷重見込み、強度に影響の強い腐食の選別などを見極めながら、延命のための策を考えます。
塗装は「補強した状態を維持する役目」で補強効果はありません。耐水措置は「腐食原因を抑止する役目」で補強効果はありません。まずは傷ついた鉄骨を少しでも復旧して、それを維持するための塗装と耐水措置です。
このことから、今回の工事は延命策としては不完全なのですべてのオーナー様にお勧めすることはできませんが、お伝えしたかったのは延命修理は鉄骨補修がはじめの一歩だということです。
アパート(ご自宅)の鉄骨廊下に不安があるオーナー様がいらしたらお気軽にお問合せください。お力になるれるかもしれません。
参考:他社も断る「補強不能を補強する」鉄骨工事例