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老朽化カーポートバルコニーを延命補修で復活。交換不要の鉄骨リノベ術

この記事を読んでいただきたい方:
戸建て住宅や賃貸アパートの鉄骨カーポートバルコニーを所有しているオーナー様、老朽化した鉄骨カーポートバルコニーの補修を検討中で費用対効果を重視し、生活スタイルを変えずに延命させたいオーナー様に解決策を紹介する記事です

錆びたカーポートバルコニーの補修復活

カーポートバルコニーの鉄骨が錆びや腐食で不安を感じているもののアルミ製への全面交換ではなく「今の構造を生かして延命させたい」とお考えのオーナー様、この記事を参考になさってください。これからの時代は「交換」ではなく「延命」で資産を守る選択が求められています。

「交換」と「延命」の違いは?

それなりに老朽化した鉄骨はたいてい「交換」という提案をされるのが一般的です。ただ、現実と理想の間で「延命」という可能性を探るオーナー様もいらっしゃいます。交換と延命の違いを簡単に書きます。

全面交換のメリット

  • 不明な補修履歴がないため管理運用がしやすい
  • 当然ですが新築設備などで長寿・安心して賃貸運用ができる

全面交換のデメリット

  • 交換をするために解体・産廃処分・基礎工事・外壁補修など多くの付帯工事が必要
  • 付帯工事を含めて工事費用は高額
  • 騒音で近隣のご理解が必要

延命補修のメリット

  • 既存構造に肉付けしたり部分交換をするのでコスト大幅カット
  • 工事騒音や解体粉じんが少ない
  • 工期が短い

延命補修のデメリット

  • 不明な補修履歴が残ったまま運用しないといけない
  • 既存構造の残された強度に依存する部分ができる
  • 新築のような長寿性はなく、今後も経過観察と措置を継続しないといけない例えば「今後30年以上使用する!」となった場合は交換が有利になることもあるため、建物の残存寿命と利用計画を踏まえた判断が必要です。下記から実際の延命補修工事例です。

老朽化した鉄骨カーポートバルコニーの現状

老朽化した鉄骨カーポートバルコニー

中古物件を購入して賃貸物件として運用したいが、カーポートの鉄骨腐食が心配で貸せる状態まで復旧できないかとご相談をいただきました。

現地調査に伺うと、経年劣化で鉄骨が腐食して塗装は粉状に剥がれ落ち、手摺や梁鉄骨に深刻な錆びが進行しています。こうした状態でも「全面交換」以外の選択肢がないわけではありません。修延命の可能性は残されています。

錆びたカーポート天井

カーポートを下から見上げています。長年塗装をしておらず錆びが粉末状になって鉄骨にこびりついています。鉄骨表面にこびり付いた錆びは専門業者のケレン作業でも苦戦します。また、大量の錆び鉄粉が飛散するので隣地お宅の壁などの付着するリスクにも備えないといけません。

バルコニー床デッキの老朽化

腐食したカーポートバルコニーの鉄骨

バルコニーの床デッキ材の老朽化が見られ、床を支える鉄フレームもボロボロ。手摺根元にも深刻な錆び腐食があります。ぱっと見では・・復旧は不可能な腐食状態です。

カーポートバルコニー鉄骨の延命補修工事イメージ

オーナー様と現地でお話を進めて、安全策と予算を詰めていき、延命補修の見通しが立ったので下記のような形で工事をすることになりました。

補修工事のイメージスケッチ

今回の現場では、構造を以下の4つに分けて診断しました。

  • 土台A:重量鋼材で健全なため再利用

  • 手摺と鉄柱再利用(強腐食や不安のある接合部などは適時補強)

  • 土台B:腐食が進行し復旧不可のため新規製作

これにより交換工事の半分以下の費用で復活が可能になりました。もちろん全てが新品になるわけではないため今後のなメンテナンス計画も併せて提案します。工事費用と今後の利用シーンのバランスを踏まえて、オーナー様が納得する形で延命補修を進めることが大事だと思います。

いよいよ延命補修着工、工事の流れ

おおまかに工事種類を分けて、以下のような工事を進めます。

  1. 手摺補修(自社工場で加工)
    腐食部分を切除し、新規部材に交換するなど溶接補強を工場で繰り返す

  2. 土台Bの刷新(現地で作業)
    既存床デッキを外し、床を支える新しい鉄フレームを構築。

  3. 防錆・塗装仕上げ(現地で作業)
    エポキシ防錆塗装で全鉄骨を保護し、さらにウレタン2層でコーティング。

  4. 床デッキの設置(現地で作業)
    今回はタキロン社製中空型デッキ材を採用。耐久性と軽量性を両立。

カーポートバルコニーの手摺補修(工場加工)

現場から手摺だけを工場に持ち帰り、集中的に補修補強していきます。腐食の強い部分だけ交換する作業をひたすら繰り返します。

カーポートバルコニー鉄骨を分解して補修工事

土台Bの床デッキを剥がして下地鉄骨を露出させて構造を維持しながら新フレームを組み込んでいきながら再構築、刷新します(朱色の鉄骨が新しいフレーム材です)

実際に解体を始めると、工事前に不明であった「過去の補修痕」がわかってきます。状況に合わせて工法を修正していきながらリアルタイムで再構築が進んでいきます。

カーポートバルコニーの鉄骨を分解して再構築

新旧鉄骨を組み合わせ

刷新土台Bと既存土台A。新旧鉄骨を組み合わせます。

鉄骨への防錆塗装(エポキシ)

構造体が完成したところで、鉄骨全体をエポキシ系防錆塗装で被膜します。

鉄骨のウレタン塗膜(1)

防錆(下塗り)のあとはウレタン塗膜2層でコーティング(中塗り・上塗り)します。完成がだいぶ見えてきました。

カーポートバルコニーの床デッキ工事

補修された鉄骨に、床材を設置していきます。

参考:カーポートバルコニーの床材はタキロン社の床デッキ中空型を使用

補修工事が完了したカーポートバルコニー鉄骨 補修工事が完了したカーポートバルコニー鉄骨(2)

カーポートバルコニー鉄骨の延命補修工事は完了です。生まれ変わった姿にオーナー様からも「アルミに変えなくてよかった!」と大満足をいただけました。交換回避で外観も強度もよみがえり、今後も安心して使用できる状態です。

老朽化した鉄骨カーポートバルコニーは必ずしも交換が最善とは限りません。所有するオーナー様の運用計画次第で延命補修という選択肢もできます。延命補修は下記のような条件を持たれるオーナー様の最適解となります。

  • 費用を抑えたい

  • 建物寿命に合わせた耐久性で十分

  • 生活動線や外観を変えたくない

これからは交換ではなく延命の時代です。カーポートバルコニーの延命補修工事は弊社にお問合せください。