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外れたステンレス手すりを現地で溶接補修

ステンレス手すりの現状(危険度:★★★★★)
都内マンションのバルコニー。ここで使われているステンレス製の手すりが外れてしまったとのこと。調査をしてみたら、手すりの溶接ジョイント(継ぎ目)箇所がはずれてしまっています。何かの衝撃で取れてしまったのかもしれません。 このことに気付かず手すりに手をかけたら本当に危険!

ステンレス手すりの補修方法:
切断されてしまった継ぎ目を丁寧にアルゴン溶接で修理。屋外だったので風に苦しみつつも、現地で溶接補修と研磨仕上げ作業でなんとか補修しました。本来は現地溶接に向かない溶接手段なのです。

継ぎ目の部分がぽっきり折れてしまったステンレス手すり

溶接が取れてしまったステンレス手すり

都内マンションのバルコニー。腰壁に設置されたステンレス製の手すりなのですが、溶接ジョイント(継ぎ目)部分がぽっきりと取れてしまい、外れている状況でした。溶接が甘かったのでしょうか。何かの衝撃で外れてしまったようです。

現地でアルゴン溶接。気を付けないといけないことが。

アルゴン溶接

ステンレスの手すりを再度溶接して補修することに。

現地で手すり同士をアルゴン溶接(TIG溶接)を使います。この溶接は「アルゴンガス」というガスを吹かせながら行うのですが、このガスは外気の風に弱いので屋外での溶接には向いていません

風が止む合間を狙って慎重に溶接していきます。ちなみにこの溶接は火花(スパッタ)が飛ばないので、周辺の養生がいらず安心です。

溶接が終わったらキレイに仕上げます

溶接後の研磨

アルゴン溶接ができたら、今度は研磨して焦げた溶接部分を馴染ませます。

ステンレスの表面は光沢のあるピカピカしたもの(鏡面仕上げ)と、細い筋が入った「ヘアーライン」と呼ばれる仕上げがメジャーですが、今回のステンレス手すりは「ヘアーライン」で安心。

なぜかというと、溶接して焦げた部分を研磨する際にピカピカの鏡面仕上げだと、現地での研磨仕上げはかなり難しいからです。「ヘアーライン」の場合は比較的仕上げがしやすいのです。

ヘアーラインの研磨作業

溶接したところだけをヘアーライン研磨するのでは意味がありません。補修箇所が浮いて目だってしまいます。

溶接された部分と、その周辺の部分のヘアーラインの模様を馴染ませないといけないのがステンレス補修の難しいところです。(スチール製だと上から塗装する場合が多い)

参考:スチール手摺の溶接補修でサビた部分だけを交換する

どこが溶接したところかわかりますか?

ベランダのステンレス手すり

どうでしょうか。溶接したところがわかりますか?

ここまで研磨してステレンス手すりの溶接補修が完了します。たった一か所の作業ではありましたが、準備や作業はスチール手すりの何倍も時間がかかります。

ステンレスの現地溶接には「屋外の気候」や「研磨仕上げ」などの条件が合わないと難しいですが、なんとか補修ができました。