この記事でわかること:
「塗るだけ化粧工事」では対応できない場合の、補修工事の耐久性・コストの違い。腐食トラブルにプロが行う下処理(ケレン・錆転換・エポキシ下塗り)の意味と順序を把握いただけます

門扉戸車が硬くて動かない・錠前が機能しない・扉の開閉ができない・・・長年(例えば15年以上)放置していると、門扉の機能不全になっていく可能性が高いです。そして、いまの塗膜はほぼ劣化し、金属素地が直接外気にさらされて腐食天国になっています。
目次
例えば15年以上、鉄扉を放置するとどうなるのか
長年、錆びたまま放置した鉄製門扉で起こりうるトラブルは下記です
✅旧塗膜の下に水分が侵入し、塗膜と金属の間で酸化反応が進行していく(門扉本体の劣化)
✅戸車や錠前、ドア丁番などの可動部が錆で固着し、開閉機能を失う
✅戸車のレールがゆがんだり破断したりして、途中までしか開けられなくなる
鉄扉の錆は、見た目の問題だけではありません。悩んでいる間にも腐食は進み続けて、構造そのものが弱体化していきます。そして最大の落とし穴は「とりあえず塗料を重ねるだけ」の施工で済ませると、数年後にはさらに深刻な状態になることです。
この記事では、実際の施工現場の写真をもとに、「本当に長持ちする鉄扉補修」に必要な工程をわかりやすく解説します。
正しい錆びの補修は「下処理」に一番時間をかける
5工程の施工記録
以下は今回の施工を実際の順序に沿って記録したものです。各工程に意味があり、手を抜けば最終的な耐久性に直結します。
1.戸車の交換・錠前ハンドルの改善・ドア丁番の交換


錆で固着し機能しなくなった戸車(門扉を支えるキャスター)と、ドア丁番を交換します。そして、何十年も使っていない錠前をそのまま利用できるよう専用ハンドルを増設。まずこれで劇的に開閉改善されます。機能不全の状態で塗装しても根本的な解決にはなりません。
2.時間をかけて、しっかり丁寧なケレン作業

ワイヤーブラシ・ディスクグラインダー等を使い、カサブタ状になった旧塗膜の浮きや剥がれを丁寧に除去します。ケレンのあと足付け(目粗し)を行います。これは、塗料が密着しやすいよう表面を適度に粗面化する工程です。既存塗膜は完全に剥がすことはできないですが(できはするが、コストや構造的に非推奨)、ココが一番大事で、こちらの現場では2日間を要しまた。省略してしまう業者には注意してください。下処理を飛ばした塗装は、「塗ったつもり」でしかありません。
3.錆び転換措置

あまりに腐食劣化が進んでいる場合は、腐食層を化学的に安定化させる「錆転換措置」を行ういます。これにより活性錆をタンニン酸鉄などの安定した化合物に変換し、腐食の進行を止めます。錆転換措置はコストのかかる作業のため、状況に応じてオーナー様にご提案する工程となります。
4.2液エポキシ下塗り

鉄部塗装では主流となった防錆性能の高い2液型エポキシ樹脂塗料を下塗りとして使用します。昔は鉛丹(えんたん)を使用した低品質な下塗りがされていましたが、20年ほど前からはエポキシ系下塗りが当然となります。鉄素地への付着力が高く、水分や腐食因子の侵入を防ぐバリア層を形成します。この層が上塗り塗膜と鉄素地の橋渡しとなります。※15年近く放置された鉄部塗装は、もしかすると低品質な下塗りである可能性が高く、合わせて注意が必要です
5.ウレタン塗膜 中塗り・上塗り

仕上げ塗装としてウレタン系塗料を中塗り・上塗りの2層で施工しました。ウレタン塗膜は耐候性・耐摩耗性に優れています。シリコンなど上位品質のものもありますが、コストパフォーマンスに優れた塗材といえます。また、かける手間(時間)は「ケレン>下塗り>中塗り>上塗り」です。すぐに仕上げ塗装をする現場では注意が必要です。
以上で補修工事は完了しました。深刻な腐食トラブルを抱えた鉄扉は、黒色の均一な塗膜で仕上がり、鉄扉としての開閉機能や防犯性も復旧できました。外観・防錆・機能の三点が同時に解決された状態です。
本工事の施工内容まとめ
✅門扉戸車交換(1日間)——固着した戸車を新品に交換し、スムーズな開閉を復元
✅錠前部分修繕(1日間)——機能不全の錠前に専用ハンドルをつけて防犯性の復旧
✅ドア丁番交換(1日間)——劣化したドア丁番を交換して、ドア機能の回復
✅3種ケレン・足付け(2日間)——旧塗膜の浮き錆を除去、塗料密着性を確保
✅錆び転換措置(2日間)——残存錆を化学的に安定化、腐食の進行を抑止
✅2液エポキシ下塗り(1日間)——高付着・防錆バリア層を形成
✅ウレタン塗膜 中塗り・上塗り(2日間)——耐候性・耐摩耗性のある仕上げ塗膜を形成
「塗るだけ」と「延命補修」——何が違うのか

錆びの上からそのまま塗る場合と、延命をテーマとして補修との違いの早見表は下記です。
| 比較項目 | 塗るだけ施工 | 本格下処理+塗装 |
|---|---|---|
| 錆の除去 | 表面のみ(ブラシ程度) | 3種ケレンで丁寧に除去 |
| 残存錆への対処 | なし(そのまま塗装) | 錆転換剤で化学的に安定化 |
| 下塗り | なし or 簡易プライマー | 2液エポキシ(高密着・防錆) |
| 仕上げ | 溶剤 or 水性で簡易塗装 | ウレタン中塗り+上塗り2層 |
| 門の利用 | 門開閉困難。防犯性なし | 開閉および防犯性回復 |
| コスパ | 見た目以外は再施工が必要=高コスト | 一度で根本解決=トータル割安 |
「今が一番軽傷」かもしれない
鉄扉の腐食は、放置すればするほど損傷が深刻になり、最終的には扉全体の交換という大きなコストにつながります。逆に言えば、今補修に踏み切ることが、最もコストを抑える判断です。
正しい下処理(ケレン・錆転換・エポキシ下塗り)の上に、耐候性の高いウレタン塗膜を重ねることで、見た目だけでなく長期の耐久性を確保できます。戸車・錠前の交換も同時に行うことで、機能面も含めて一度に解決します。
「塗るだけ」で済ませた施工とは、延命品質がまるで異なります。表面だけきれいにしても、鉄扉が抱える機能不全はそのままです。
錆びた鉄扉のお悩み、「どの程度の腐食か判断できない」「費用がどのくらいかかるかわからない」——そういったご不安も含めて、弊社にお気軽にご相談ください。
要約Q&A
Q:錆がひどくても補修できますか?交換が必要でしょうか?
A:ある程度構造的な強度が確保できている状態であれば補修で対応可能です。溶接補強と鉄部塗膜を施工することで、見た目以上に深刻な腐食でも再生できるケースが多くあります。
Q:工事中は門扉が使えなくなりますか?
A:工程によっては扉を固定した状態で施工する時間帯が発生します。事前にスケジュールをご相談の上、お客様の使用状況に合わせた施工計画を組みます。また、溶接を多分に行う工事場合は、弊社工場でいったん門扉をお預かりすることもあります。その際は建物入口にはコーンなどでバリケードを設置いたします。
Q:施工後の保証はありますか?
A:既存設備を継続利用する工事ですので、定量的なお約束はできませんが、例えば1年も経たずに溶接補強パーツが外れたりした場合は、原則無償対応しております。塗膜の剥がれなどは、既存塗膜に起因する場合は、改めて確認させていただきます。
Q:門扉以外の鉄設備も対応していますか?
A:はい、フェンス・手すり・外階段・外廊下・玄関鉄柱・鉄骨架台など、あらゆる鉄設備の補修塗装に対応しています。まとめてご相談いただくと、コストメリットが生まれる場合もあります。
Q:費用の目安を教えてください。
A:錆の程度・扉のサイズ・機能部品の交換有無などにより大きく異なります。今回のような両開き大型門扉で機能修理と本格塗装を含む場合、数十万円規模の工事となることがありますが、放置し続けて全交換になるよりは大幅に割安です。
