この記事を読んでいただきたい方:
外階段の踏み板が老朽化によって外れそうになってしまって、交換は避けて、なんとか溶接補修できないのか調べているオーナー様、補修するとしたら、どれくらいの費用で解決できるのか知りたいオーナー様に向けた記事です
「アパートの外階段の踏み板がグラグラする・・。」
「踏み板のモルタル(コンクリート)が割れて、まわりの鉄部が錆びている・・。このままで大丈夫なのか?」
このようなお悩みをお持ちのオーナ様はいらっしゃいますか? 階段の踏み板の劣化を放置すると、入居者様やご家族の人的被害(事故)につながる危険性があります。
この記事では、危険な状態の鉄骨階段を「丸ごと交換せずに」安全な状態に復活させる溶接修理の方法について、以下の点を中心に分かりやすく解説します。
- なぜ踏み板が危険な状態になるのか、その原因
- 鉄工所が行う具体的な溶接修理の手順
- 修理にかかる費用の考え方
- 本工事以外の様々な補修方法
階段の寿命を10年以上延ばすことも可能な修理方法です。ぜひ最後までご覧ください。
踏み板の劣化サイン。「ひび割れ」は要チェックです。
外階段の踏み板がモルタル(コンクリート)製になっている場合、20年近く放置しているとモルタルが劣化して、ひびが入ることがあります。
一度ひび割れが生じると、そこから浸水が始まって、内部の鉄骨が酸化腐食をします。
この状態を放置していると、錆びによって強度を失った鉄が踏み板を支えられなくなり、踏み板が外れて事故になることがあります。
ひび割れから始まる、錆びの悪循環
上の図のように、モルタル踏み板タイプの鉄骨階段は、踏み板の断面がお盆のような形になっており、その中にモルタルが充填されています。
- 経年劣化でモルタルに「ひび」が入る
- ひびから雨水や空気が侵入する
- 内側の鉄板が湿気にさらされ、酸化し錆びてしまう
- 錆が進行し、鉄板が腐食してボロボロになる
- 鉄板の腐食によって形状が歪んでしまい、さらに「ひび」が増える
1の「ひび発生」から、5の「ひび増加」に進むと、また1に戻って、どんどん被害は拡大していきます。
この状況を放置すると、踏み板を支える鉄板の強度が限界となり、体重をかけた際に踏み板が抜けてしまう大変危険な状態になります。表面のモルタルが少し割れているだけに見えても、内部では深刻な腐食が進行しているケースが少なくありません。
実践:外階段の踏み板 修理工事
大掛かりな交換工事は不要です、溶接による修理工事で階段の寿命を延ばすことが可能です。10年以上の延命を実現します。その具体的な手順をご紹介します。
ステップ1.溶接修理のための下準備(ササラ桁の補強)
まずは、踏み板を両側から固定している構造フレーム(ササラ桁)から撤去、解体します。その後、ササラ桁が再度の溶接負荷に耐えられるかを確認します。もし強度が残っていれば、そのまま踏み板の溶接工事ができますが、強度に不安がある場合は、ササラ桁自体も補強します。
参考:外階段ササラ桁を補強した工事例
ステップ2.新しい踏み板への交換
次に、新しい踏み板を取り付けます。
今回は、再びモルタル詰めの踏み板にするのではなく、滑り止めの凹凸がついた縞鋼板(チェッカープレート)の踏み板をご提案しました。
メリット:資材費用が安くなる。通気性が良いので鉄板の健康維持に向いている
デメリット:見た目が工場の階段のようになる。歩行音がする
工事費用やメンテナンス効率の側面から、今回は縞鋼板(チェッカープレート)の踏み板に変更しました。
また、数段ずつ踏み板を解体・交換することで、居住者様への階段使用制限をゼロにして負担をかけないようにしました。工事の日程については、この工法に準じて3~4日ほどで終わりました。(塗装工事別途)
このあと仕上げ塗装をしていただいて当社の工事は終了です。オーナー様、ご用命いただきありがとうございました。
以下、工事前と工事後の、踏み板のアップ写真です。
オーナー様も居住者様もひと安心!よかったです。工事のご用命をありがとうございました!
工事の費用について
「修理費用は一体いくらかかるの?」というのが、オーナー様にとって気になる点かと思います。階段の修理費用は、
- 劣化の進行度合い(腐食の範囲)
- 階段のサイズや形状
- 修理をする程度や範囲
など、現場の状況によって大きく変動します。そのため、一概に「いくら」と提示することは難しいのが実情です。
ちなみに、今回ご紹介した工事は25万円税別ほどです(令和元年)。コロナ渦以降は特に物価高騰の影響で資材費も人件費も上がっております。弊社は施工店なので、できるだけ産直の費用でお応えできますが、1年違うと費用はかなり変わってくるのでお早目のご相談をお奨めいたします。
踏み板の劣化は、建物の資産価値を損なうだけでなく、何よりも居住者様の安全を脅かします。少しでも「おかしいな?」と感じたら、業者へ相談することをおすすめします。適切な修理で、安心・安全な階段を取り戻しましょう。
外階段の踏み板でお困りのオーナー様、お気軽にご連絡ください。
要約Q&A
Q:外階段の踏み板、修理のタイミングは?
A:モルタル(コンクリ)タイプの踏み板は、モルタル面にひびが入っているとき。鉄板の踏み板ならササラ桁との接合部に錆びが生じているときです。腐食箇所が華奢であるほど腐食速度は速いので、早めに業者にご相談ください。
Q:この記事の外階段の修理は、具体的に何をしたの?
A:劣化した古い踏み板を撤去し、新しい踏み板(例:鉄製の縞鋼板など)を溶接して取り付けます。階段を丸ごと交換するより費用を抑え、10年以上寿命を延ばすことも可能です
Q:修理にかかる費用はどれくらいですか?
A:費用は劣化の状況や階段の大きさによって変動します。記事で紹介した工事例では約25万円(税別・塗装別)でしたが、材料費は変動するため、正確な金額は業者による現場調査と見積もりが必要です。
Q:工事の間、階段は使えなくなりますか?
A:いいえ、ご安心ください。居住者様が通行できるよう、一度に全てではなく数段ずつ計画的に交換作業を進めます。そのため、工事中も階段をご使用いただくことが可能です。工事期間の目安は3〜4日程度です。(塗装別)