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【鉄製引き戸のレールが老朽化】ピンポイントの基礎工事と溶接工事で補修

この記事を読んでいただきたい方:
鉄製引き戸のレールが老朽化して破損し、「キーキーうるさい」「レールが曲がっている」「重くて動かない」とお困りのオーナー様向けの記事です

ガレージ扉(引き戸タイプ)の補修前

ガレージ扉(吊り型の引き戸)が、老朽化によって開閉が困難になることがあります。理由は様々ですが、引き戸のレールの劣化が原因である場合は、下記のような工事で復旧することができます。

引き戸のレールに不具合が起きる原因は「腐食や摩耗」

吊り扉金具の故障

鉄製引き戸のレールには、吊りレール(扉を上から吊る)タイプと、敷きレール(扉を開閉を下でガイドする)タイプがあります。どちらのレールも不具合の原因は主に下記です。

鉄部錆び(腐食)
雨水や湿気が鉄部に付着すると腐食(錆び)が進み、レールまわりが変形したり破断したりします。この結果、引き戸の開閉が重くなったり、途中で詰まってしまうような症状が起きます

戸車の摩耗(すり減り):
戸車(引き戸の下に付いている車輪)が長年同じ部分を通ることで、レールが削れて段差や溝ができます。引き戸の荷重が大きい場合や、頻繁に開閉する場所では摩耗が進みやすいです

扉のガイドレールの老朽化

ほか、ゴミなどがレールの溝や戸車の中に溜まってしまうことも原因として考えられますし、地震によってレールがわずかに曲がったり、埋設されている基礎が割れてレールが機能しなくなることも珍しくありません。

これらの不具合によって起きるかもしれない「引き戸が外れて怪我をする、指を挟む」などの危険性について、ガイドラインを掲載している記事があります。

参考:放置しないで!窓・ドアの危険サイン:nite

引き戸の開閉をスムーズに戻す補修プラン

扉の補修プラン

ご相談をいただきましたケースでも、レールが破損し、扉の開閉が困難な状態でした。しかし、引き戸本体は健全でしたので、引き戸の上下を走るレール機能を復旧することで、問題点をピンポイントで解決するように考えます。

扉本体は、今後のことを考えてメンテナンスしやすく加工をします。また、扉の下のレールは溝形(埃などが貯まる)ではなく山型(埃などが溜まらない)にする。母材をステンレスにして対候性を高めるなど、今後のための合理的な改修策をご提案しました。

実践:引き戸レール補修工事 ~鉄骨工事~

扉の鉄部塗装

いったん引き戸の本体を自社工場に引き上げて加工をします。まずケレン(鉄表面を研磨する作業)をかけて、引き戸の脆弱部を洗い出します。

扉フレームの溶接補修

扉フレームの腐食

引き戸内部の錆びを補修するため、弱った部分除去して、新しいパーツを溶接して復旧します。外見は綺麗でも、内部ではサビが進行しています。

実践:引き戸レール補修工事 ~基礎工事~

ガーイドレール基礎工事

現地では、古いレールの撤去と基礎工事を進めます。新しいステンレス製レールを正確に設置するための重要な工程です。

ステンレス型のガイドレール

埃や土が詰まってしまっていた、既存のレール構造であった「溝型」を「山型」に変更することで、ゴミ溜まりのリスクを回避します。また、対候性のあるステンレス製のレールにしました。

補修工事後のガレージ扉

補修工事が完了した引き戸です。上下のレール工事だけなのに、まるで新品のような仕上がりなりました。

実は、驚くのはそこではなく、これまで踏ん張ってあけていた引き戸が、指1本で滑らかに開閉できることです。オーナー様が感動されていて、嬉しかったです。

目に見えない工夫を込めたガレージ扉の復活!

扉のレール部分(補修後)

引き戸のレール破損は、単にレールを交換するだけで解決することもありますし、扉本体の状態、戸車の摩耗、レールの形などの視点を加えて適切な修理が必要なケースもあります。利用シーンや今後の使用年数によって補修方法をアレンジ可能です。

扉の吊り戸部分(補修後)

「もうアルミ門扉に交換しかないのか・・」と諦める前に、補修という選択肢をご提供できる鉄工所もございます。引き戸のレールや戸車の開閉トラブルは弊社にご相談ください。

要約Q&A

Q:引き戸が急に重くなったり、動かなくなったりする原因は?
A:主な原因として「引き戸レールの破損や歪み」「戸車の錆びや摩耗」が考えられます。屋外の鉄製レールは雨水で錆びやすく、その上を重い扉が往復することで破損につながるケースが多いです

Q:引き戸のレールは自分でDIY修理できますか?
A:例えば戸車の動きが固いなと感じたら潤滑スプレーなど吹いてみたり、レール溝に溜まったゴミを掃除するなど、DIYで解決できるかもしません。ただ、レールが曲がっているとか、戸車がフラグラするなどの場合は、無理に触ると状況を悪化させるかもしれませんので、そうういう場合は業者に相談するのが良いかと思います

Q:扉ごと交換するのは、レール修理の費用より高くなりますか?
A:交換工事は、扉本体もレールも交換となるため、扉を継続利用してレール関連だけ補修するほうがコスト安になる可能性が高いです。

Q:レールだけでなく、引き戸本体も修理する必要がありますか?
A:引き戸本体がレールや戸車から独立した構造で、腐食ダメージが軽微であれば、引き戸本体も工事をせずに現地で溶接工事だけで解決できることもあります。ですので、必ず引き戸本体を持ち帰るということはありません。

Q:この記事の工事は、どれくらいの時間がかかった?
A:今回のケースのように、引き戸を工場に持ち帰って補修し、現地のレール基礎工事も行う場合、1週間前後の工事期間が必要です。引き戸を現地から工場に引き上げる際は、防犯のため、コーンやバリケートを立てることもあります

修理のためいったん扉を撤去