この記事でわかること:
アパート階段の腐食による事故リスク、賠償責任リスク、これらを回避する補修方法がわかります

こちらの階段、途中の踏み板が錆びて外れてしまったので、急遽ロープで吊っている状態・・。一刻も早い工事が求められる緊急事態です。
階段事故で賠償責任が発生する前に知っておくべきこと:
アパートやマンションの鉄骨階段で踏み板が外れたり、サビによる腐食が進行している場合、居住者様や配達員が怪我をする重大事故になることがあります。この記事では、オーナー様が直面する賠償責任リスクと、実際の修理事例をもとにした対処法を解説します。
目次
踏み板が外れて起きる、実際の事故例
参考:3階建てアパートで外階段の踏み板が抜け落ちる事故:北海道ニュース
階段の踏み板は、常に利用者の荷重を受けていて、腐食が始まるといきなり欠損します。これは実際に起きることでニュースにもなりますし、SNSでも強い関心を集めています。
弊社従業員の家族が住むアパートで、奥さんが赤ちゃんを抱っこして階段を降りていた時に7段目が崩れて転落し、奥さんと赤ちゃんが怪我したのに管理会社は「治療費のみで示談にしてほしい」と言ってるけどさすがに慰謝料請求できるよね? pic.twitter.com/pbvAPuTTDi
— LEON (@Leon__parsa) October 7, 2025
ほんとうに賠償責任を問われるの?

アパート階段の腐食による設備不具合で人身事故が起きた場合は、
民法第717条の「土地の工作物責任」に抵触して、賠償責任が生じる可能性が高いです。
- 第一次責任(占有者):
工作物の占有者が被害者に損害賠償責任を負う - 第二次責任(所有者):
占有者が損害防止のために必要な注意をしていた場合、所有者が賠償責任を負う - 所有者の無過失責任:
所有者には免責事由が認められておらず、過失がなくても責任を負う
今回の階段のケースでいうと、踏み板の両端や劣化したモルタル床面からの浸水によって、踏み板を支える金物(アングルピース)が外れました。その結果、踏み板が利用者の荷重によって唐突に落下した経緯です。
例えば、下記のような事件が起きた場合は、賃貸物件を運用するオーナー様の、法的な管理義務に直結する問題となり、損害賠償を請求される可能性があります。
- 居住者様が段板を踏み抜いて転落・骨折した
- 配達員さんや訪問者様が階段事故で負傷
- 通行中の第三者が落下した踏み板によって被害を受ける
参考:階段の腐食は「保存の瑕疵」にあたり、設置時点では問題なくても、その後の維持管理の過程で老朽化等に伴い発生した瑕疵を意味します:全日本不動産協会
最短ルートで賠償責任を回避する修理方法

鉄骨階段は全交換不要で補修可能
アルミ既製品の階段と違い、鉄骨階段の大きな利点は、損傷したパーツだけを交換できることです。階段全体を取り替える必要はありません。

今回の工事では、以下のように「交換する」「再利用する」を仕分けて、階段を健全な状態にに戻します。
| 分類 | パーツ名 |
|---|---|
| 交換が必要なパーツ(もうダメ) | ササラ桁(階段の骨組み) |
| 段板 | |
| 再利用できるパーツ(まだ元気) | 手すり |
| 屋根の鉄骨 |
鉄骨設備の腐食ダメージによって、交換パーツは減り、再利用パーツが増えます。
また、鉄骨階段を丸ごと新しくしようとすると入居者様の生活の問題(階段が一時期使えなくなる)と費用の問題(解体費用や基礎工事費などの付帯費用)が発生します。オーナー様としてはできるだけ避けたい状況です。

上記のような事情から、でアパート階段の改修では延命補修工事がベターといえます。
また、気になる工事費用については、ダメージや補修範囲によって異なりますが、全体交換工事の20%~50%程度までの費用節約が、ひとつの目途となります。
オーナー様ができる鉄骨腐食チェック

鉄骨階段の腐食は、放置すればするほど悪化し、最終的には重大な事故と賠償責任につながります。しかし、適切なタイミングで部分的な補修を行えば、安全性を確保しながらコストも抑えることができます。
早い対応が必要(賠償リスク大):
- 段板が外れている、またはぐらついている
- サビによる穴や亀裂が確認できる
- 階段の柱やササラ桁にサビ穴があいている
- 入居者様から階段の異常を指摘されている
早期対応が望ましい(予防的措置):
- 表面的なサビが見られる
- 築年数が20年以上経過している
- 直近のメンテナンスが10年以上前である
ほか、下記のページも参考になります。
参考:アパート外廊下の床が抜けて怪我! キケンな状態の見分け方は?:SUUMOジャーナル
・新しく作った階段鉄骨(ササラ桁と段板)
・既存鉄骨(手すりと屋根)
この2つの鉄骨を溶接で組合せれば、工期も最短で鉄骨階段は再生します。
これでオーナー様のひと安心。無事に鉄骨階段の継続利用ができます。また、このページで紹介した修理方法の大規模版は下記の工事です。
損害賠償のようなトラブルを避けるために

事故が起きてからでは、状況改善はできません。損害賠償トラブルを避けるために、例えば、下記のような形で備えておくことも大事と考えます。
賠償責任を避けるための予防策
- 定期点検の実施:理想は年1回ですが、塗装寿命である7年を軸に定期点検をする
- 早期発見・早期対応:小さなサビでも放置せず、専門業者に相談する
- 記録の保管:点検記録や修理履歴を保管し、管理責任を証明する資料を残す
ちなみに、今回の修理工事では、段板をモルタル式からチェッカープレート式に変更しました。モルタルタイプに比べると通気性もよく、雨はけも良く、今後のメンテナンス性も高いです。
人的被害は、誰も予言はできません。しかし、「まだ大丈夫」という油断が招く事故であることは間違いないのです。賠償問題に悩むオーナー様を多く見てきました。
入居者様、利用者の安全を確保して、賠償責任リスクを回避するために、定期点検と適切な対応を心がけましょう。現場調査やお見積もりについては、お気軽にお問い合わせください。
要約Q&A
Q:アパートの階段や廊下が錆びて事故が起きたら、オーナーは賠償責任を負う?
A:はい、賠償責任を負う可能性があります。民法第717条の「土地の工作物責任」により、階段の腐食による事故では、建物オーナー様に賠償責任が生じます。重要なのは、所有者に過失がなくても責任を負う(無過失責任)という点です。つまり、「錆びていることを知らなかった」「施工業者の責任だ」という主張は認められない傾向にあります。
Q:どのような状態だと賠償責任につなるリスクがある?
A:例として、下記の表をご参照ください
| 緊急度 | チェック項目 |
|---|---|
| 早い対応が必要 (賠償リスク大) |
段板が外れている、またはぐらついている |
| サビによる穴や亀裂が確認できる | |
| 階段の柱やササラ桁にサビ穴があいている | |
| 入居者様から階段の異常を指摘されている | |
| 早期対応が望ましい (予防的措置) |
表面的なサビが見られる |
| 築年数が20年以上経過している | |
| 直近のメンテナンスが10年以上前である |
