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ブロック塀の揺れ・傾きを交換せずに「鉄骨振れ止め工事」

この記事を読んでいただきたい方:
ブロック塀がグラグラしており、対策方法を検討しているオーナー様、事情があって塀の解体はしないで解決したいオーナー様に向けた記事です。

ブロック塀振れ止め工事

古くなったブロック塀。交換以外の選択肢があるのをご存知でしょうか?

既存の塀を解体しないで、鉄骨を使った補強をする工事、「鉄骨振れ止め工事」という工法があります。しかしながら、これは万能な工事ではないので、メリットとデメリットを解説しつつ、工事の実例もご紹介します。

ブロック塀を放置すると、なにが危険なのか?

ブロック塀の傾き

ブロック塀は、経年劣化により内部の鉄筋が錆びて膨張し、ブロック自体にひび割れや傾きを生じさせます。この状態を放置すると、地震などの際に突然倒壊し、人命に関わる重大な事故につながる危険性があります。

ブロック老朽化にまつわる大きな事故は、2018年に起きた死亡事故です。

参考:女児の命奪った「危険ブロック塀」「近づいてはいけない」その特徴は:Jcastニュース

そもそも内部に鉄筋が入っていないブロック塀も存在するので、オーナー様には心配のタネになることが多いです。

ブロック塀の「交換」か?「補強」か?それぞれの特徴

懸念のブロック塀への対応策として、ブロック塀を交換するか、補強するかの2択で検討するとき、費用やシチュエーションで大きく変わってくるので下記をご参考になさってください。

  • ブロック塀の交換工事
    資材費:外構資材は、鉄骨材と比較して安価
    持続性:新品に交換されるので、長持ちする
    工期:撤去処分、遣り方、下地工事、新ブロック施工と長期間かかる
    効果:騒音が大きい。工事期間中はプライバシーや防犯性にも注意
    工事費用:工事ボリュームが多いと補強工事より安い
  • ブロック塀の鉄骨触れ止め工事
    資材費:鉄骨材は、外構資材と比較して高価
    持続性:既存ブロックに肉付けする工事なので、暫定的
    工期:交換工事よりは短期で完了する
    効果:騒音は比較的小さい。工事期間中も塀があるのでプライバシーや防犯性は確保
    工事費用:工事ボリュームが少ないと交換工事より安い

鉄骨触れ止め工事のほうが「タラレバ」が多く、施工環境を選ぶ工事といえます。具体的にはお隣との兼ね合いで解体が難しかったり、防犯面で塀がない期間を作りたくなかったりする場合には、「補強工事」が有効ですが、補強効果は既存ブロック塀に依存する部分があるので暫定措置となります。

基本的には交換工事が前提で、事情によって鉄骨補強工事が役に立つ・・というイメージで良いかと思います。

鉄骨触れ止め工事 工事例

傾いたブロック塀(工事前)

現地調査とお打合せ:
上記は工事前の写真です。鉄骨振れ止め工事の基本は、揺れているブロック塀の「頭」を固定し、倒れないように支えを作る工事です。現地でどのように揺れ(グラグラ)を解決するか打合せをします。

建物の壁を使ってブロック塀を固定する

工法のご提案とお見積のご提出:
今回は、塀に隣接する建物の壁を利用して固定する方法をご提案しました。

ちなみに、触れ止め手段は現地環境によって変わります。下記のような工事もあります。

参考:ブロック基礎から補強を行う施工例

この記事を読んでいただきたい方: 既存...

ブロック塀補強工事の図面

施工図作成(作成しないときもあります):
工事内容によっては施工図を準備します。現地調査のデータをもとに施工図を作成し、それに合わせて工場で専用の鉄骨部材を加工・製作します。

振れ止め骨材

振れ止め鉄骨材を作る:
承認を受けたらさっそく工場で振れ止め鉄骨を作ります。今回の鉄骨材は、腐食に強い溶融亜鉛メッキ処理(参考ページ:Mitsuri様HP)を施します。

振れ止め鉄骨のアンカー固定

建物壁面(ALC)にアンカー固定

振れ止め骨材の施工:
ブロック塀に固定した振れ止め骨材と建物壁面に固定したパーツを連結して繋ぎます。これにより、ブロック塀が建物に支えられる形となり、それ以上の傾きや揺れを防ぎます。

ブロック塀の鉄骨補強部

傾きを抑えるブロック塀補強工事

これにてブロック塀の振れ止め工事が完了しました。

鉄骨触れ止め工事は、すべてのケースに万能な工事では。既存の塀を活かす対症療法であり、強度を完全に元通りにするものではないことをご理解いただく必要があります。

しかし、運用方針や近隣事情、防犯事情によっては有効なメンテナンス手段として、工事方法の選択肢のひとつであることに違いありません。資産価値を守る手段として、鉄工所が直接お役に立てることがございます。ブロック塀の揺れや傾きでお悩みならご相談ください。

要約Q&A

Q:鉄骨触れ止めは交換工事より安く済むの?
A:数メートルくらいの小規模な工事であれば交換工事より安価になることもありますが、何十メートルとなってくると、資材費や持続性の面で交換工事のほうがコストパフォーマンスが高いです。

Q:ブロック塀の鉄骨触れ止め工事が有効なシーンは?
A:防犯事情や近隣事情によってブロック塀がない期間を作ることができない場合に有用な手段といえます

Q:ブロック塀の鉄骨触れ止め工事の工事期間は?
A:現地での作業は、早ければ一両日で終了します

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