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鉄骨階段がグラグラしたら?原因と補修対策

この記事を読んでいただきたい方:
ご自宅やアパートの鉄骨階段がグラグラして不安なオーナー様、グラグラする原因や、補修方法について調べているオーナー様に役立つ記事です。

グラグラの鉄骨階段の修理延命工事

使っている鉄骨階段がグラグラして、歩くたびに不安を感じることはありませんか?「もしかして、いつか壊れてしまうのでは…」と心配になりますよね。

その不安、放置は禁物です。しかし、適切な対処をすれば、多くの場合、階段を丸ごと交換することなく強度を取り戻せます。この記事では、鉄骨階段がグラグラする主な原因と、安心して使えるようにするための具体的な対処法を分かりやすく解説します

なぜ?鉄骨階段がグラグラする主な原因

グラグラして危険な鉄骨階段

鉄骨階段が揺れる最も一般的な原因は、経年劣化による錆び(腐食)です。

長年、雨風にさらされることで、階段の部材をつなぎとめている溶接部分が徐々に弱ってきたり、部材同士の接合部が腐食によって強度を失ってしまいます。

  1. 塗装の剥がれ:紫外線や雨水によって、鉄骨を保護している塗装が剥がれてきます
  2. サビの発生:塗装が剥がれた部分から水分が侵入し、鉄が酸化(サビ)します
  3. 鉄の腐食:サビが進行すると、鉄が腐食して強度が低下します
  4. 溶接部の脆弱化:階段の横にある「ささら桁」という斜めの梁と、足を乗せる「踏み板」をつなぐ溶接部分がサビで弱ると、決定的なグラつきが発生します

つまり、階段のパーツを固定している「接着剤」の役目である溶接が、サビによって弱ってしまうと、非常に危険です。

グラグラを放置する危険性

階段の螺旋部の鉄骨補修

階段のグラつきは、単なる「揺れ」の問題ではありません。放置していると、前触れなく突然、事故になることがあります。

特に、アパートや集合住宅の屋外階段は、不特定多数の人が利用するため、問題が起きた際の影響は甚大です。少しでも「おかしいな」と感じたら、絶対に放置せず、すぐに行動することが大切です。

参考:共同住宅における屋外階段崩落事故に関する再発防止策:国土交通省

このような強度危機に至った場合、必ずしも階段全体を交換する必要はありませんし、「残りの使用年数も限られているし、いまの階段をまだ長く使いたい」というシチュエーションは、よくあることです。

では、具体的な補修延命工事を下記より、写真付きで解説します。

実践:グラグラする鉄骨階段の補修工事

段板フレームを溶接補強

1. 腐食した部分の撤去と再溶接する
サビてボロボロになった踏み板や部材などを撤去し、下地の鉄骨をむき出しにします。下地の鉄骨が弱っている場合は、このタイミングでそのまま補強をします。

階段の段板を交換する工事

グラグラした鉄骨階段の復旧

新しい鉄板や部材を溶接し直して、階段の強度を回復させます。手すりはまだ健全であったあため、特に手を加えず、工事をしないでそのまま使います。

階段のグラグラを抑える柱

2.「支えの柱」を追加する
グラつきを解消するため、支えとなる柱(支柱)を新たに追加しました。

階段の途中や踊り場の下など、揺れが最も大きい箇所に新しい柱を立てて固定することで、階段全体の安定性が向上する工事方法です。この方法は、多くのケースで有効な補強策となります。これで溶接工事は終わりです。あとは、ウレタン塗膜で溶接効果を維持するための塗装して全体工事が完了します。

工事前と工事後を見比べてください

グラグラする鉄骨階段

工事前:
鉄骨階段がグラグラする理由は、ささら桁の腐食や溶接劣化、構造的な強度ダウン、付帯設備の老朽化など、多岐に想定されるので、事前の調査が必ず必要です。

調査をすることで、設備の弱点を特定して、工事範囲や内容を絞り込んでいくことができるので、結果的に工事費用を節約することにつながります。

延命補修した鉄骨階段

工事後:
階段の揺れは「無言のSOS」です。不安を感じながら使い続けるのは、精神的にも良くありませんし、何より危険です。

もしご自宅や所有するアパートの鉄骨階段がグラグラする場合は、なるべく早く鉄工所や信頼できるリフォーム業者などの専門家に点検を依頼してください。

専門業者に相談すれば、最適な修理方法を提案してくれます。多くの場合、大掛かりな交換工事なしで、費用を抑えながら安全な階段を取り戻すことが可能です。早めの対処で、日々の安心を手に入れましょう。鉄骨階段のグラグラが心配な方はご相談ください。

要約Q&A

Q:使用している鉄骨階段が、なんだかグラグラするのだけど、原因は?
A:最も多い原因は「サビ」です。長年の雨風で塗装が剥がれ、そこから鉄がサビて腐食してしまいます。特に、階段のパーツをつなぎ合わせている「溶接部分」がサビで弱ってしまうケケースが多く、グラつきが発生します。築40年以上の建物でよく起こるトラブルです

Q:階段のグラグラを放っておくと、どうなるの?
A:放置すると、ある日突然、階段が崩れ落ちる重大な事故につながる可能性があります。特にアパートなど、多くの人が利用する階段はすぐに専門家による点検が必要です

Q:階段の揺れに気づいたら、まず何をすればいい?
A:すぐに専門家へ相談してください。グラグラする症状にはDIYのレベルでは対応できません。鉄工所や信頼できるリフォーム業者に連絡し、「階段がグラグラするので点検してほしい」と伝えることが、安全確保への第一歩です。早めの対処が、事故を防ぎ、修理費用を抑えることにもつながります

Q:階段の溶接補修工事はどれくらい費用がかかるの?
A:程度によりますが、20万円~30万円程度で補修できることが多いです。塗装や足場、耐水作業は別途です

Q:階段の溶接補修工事はどれくらい時間がかかるの?
A:程度によりますが、1日~4日くらいで終わることが多いです。また、工事中の階段の使用制限がほぼ生じないような段取りをします