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バルコニーのデッキプレート腐食を交換せずに補強

この記事を読んでいただきたい方:
鉄骨バルコニーのデッキプレート腐食でお悩みのアパートオーナー様向けの記事です。錆びで歪んだり穴が空いてしまっても補修工事を加えることで延命できること。その対策方法をご理解いただけます。

バルコニーのデッキプレート補修工事

鉄骨バルコニーのデッキプレートの現状( 鉄骨サビ度:★★★★☆)
アパートオーナー様からご相談をいただきました。鉄骨バルコニーのデッキプレート(床モルタルの受け皿となる部分)が部分的に穴があいて中身(モルタル)が見えています。このままでは床部分が荷重に耐えられず人的被害を引き起こします。

鉄骨バルコニーのデッキプレートの補強方法:
腐食の原因はバルコニー床面から浸水した雨水が大きく影響しています。錆びたデッキプレートを交換するのは費用面にも運用面にも現実的ではないので、交換ではなく溶接補強でデッキプレートを継続利用する方法で延命補修します。

この工事の相場費用について:
鉄骨の腐食ダメージの具合や工事条件がまちまちであるため、工事費用も現場ごとに異なります(現場調査が必要です)。お見積依頼等お気軽にお問合せください。

デッキプレートの腐食原因の9割は「浸水」

デッキプレートが錆びて押し下がっている

写真は、腐食で変形したデッキプレートです。このようになってしまった原因は「バルコニーの床面(モルタル)からの浸水」です。

経緯で解説します。まず、バルコニー床面が劣化することで「ヒビ」が発生します。すると雨水が床内部に入ります。床内部のデッキプレートは雨水によって腐食します。腐食すると強度を失って荷重を支え切れず歪んだり穴が空きます。弱った部分から腐食が加速して内部のモルタルが見えてくると黄色信号となり、床抜け事故まで想定される事態になります。

アパートで使用されるデッキプレートの厚さは1.5ミリ程度です。この薄さでも強度をつけるために凸凹形状にして強度を出したりメッキ処理をして腐食耐性を施すのですが、一度錆びてしまうと腐食のまわりも速くなります。

デッキプレートの劣化は日常では気付きにくい・・。

鉄骨ベランダで使用されているデッキプレート

普段の生活では気づきにくいデッキプレート腐食。バルコニーを使う2階の居住者様よりも先に、見上げたときの「デッキプレートの異常」に1階の居住者様が気が付くことが多くあります。オーナー様には気を付けていただきたいポイントです。

とはいえ、オーナー様が脚立を使ってチェックする機会はあまり多くはないため、7~8年前後を目途とした鉄部メンテナンス(塗装の寿命が7~8年のため)のときに、補修業者にしっかり確認してもらうことをお奨めします。できれば塗装屋さんではなく、私どものような鉄骨補修業者に見せた方がいいです。

鉄部の補修メンテナンスを怠ってしまうと腐食ダメージが蓄積していくので放置すればするほど補修工事の難易度も上がり、延命確率も落ちてしまいます。

参考:鉄骨階段の寿命は「40年目」が節目

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デッキがこれ以上落ちないような補強で回避する

デッキプレートの鉄骨による補強工事

劣化したデッキプレートを丸ごと交換するのは、バルコニーを解体するに等しい工事となるため、工事費用も高額となります。何より、入居者様が一時的にバルコニーを使えなくなるので、工事方法の選択肢として現実的ではありません。

そこで延命補修をして「デッキプレートがこれ以上落ちないように補強する工事」をお勧めします。デッキプレートを交換せずに既存のデッキプレートを継続利用しつつ人的被害や欠落事故を回避する工法です。これで入居者様の負担も少なく工事費用も安く対処できます。工費を安くする代わりに「直しました感」が残るので見た目の悪さがデメリット。

この補強方法にもいろいろ手段があるのですが、今回の補強工事ではバルコニー全長分の梁鉄骨を2本増設して「これ以上デッキプレートが落ちないようする」方法で進めます。

鉄骨の溶接補強工事

増設した「梁鉄骨」は、デッキプレートの歪みによって高さがアベコベになった箇所にも臨機応変に溶接固定していきます。

梁鉄骨の補強効果を増すために「L字型のパーツ」を使ってデッキプレートの腐食箇所を重点的に補強します。今回の工事で溶接される「梁鉄骨+L字型パーツ」が既存のデッキプレートと一体となり強度を取り戻して、バルコニー鉄骨が延命されます。

補強のための筋交いパーツ

最後に、バルコニーの支柱から「筋交いパーツ」を溶接して増設します。バルコニーに掛かる荷重を鉄骨柱に効率的に分散する効果があります。また、鉄骨柱への荷重ストレスも軽減します。結果としてバルコニーの鉄骨強度の維持に貢献します。延命を最優先として丁寧に無駄を生まず補修をしていくことが大事です。

こちらでデッキプレートの鉄骨補修工事が終わりました。あとは塗膜をつけて延命効果を長く維持させていきます。デッキプレートを交換しないので費用も抑えながら最大限の補強効果が出せたのでオーナー様にも大変ご満足をいただけました。

今回のデッキプレート補強工事は、バルコニーの強度問題を根本から解決するものではありませんが、アパートの運用計画や居住者様の生活負担を踏まえると「費用対効果の高い延命補強工事」と自負しています。デッキプレートのサビでお困りのオーナー様、お気軽にお問合せください。

また、バルコニーの床下地がデッキプレートではないケースでも補強工事が可能です。合わせてご覧ください。お問合せをお待ちしております。

参考:ベランダの根太を交換して延命する工事

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