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「残り10年」のための鉄骨補強工事

この記事を読んでいただきたい方:
マンション規模ではなく、アパートやご自宅の鉄骨設備(外階段や廊下、ベランダ)がある方で、鉄サビに不安があり補強を考えている方向けのページです。

鉄骨廊下のサビの現状( 鉄骨サビ度:★★★☆☆)
アパートオーナー様から「鉄骨廊下の塗装をしたけど、塗装屋さんから鉄骨補修を薦められた」とご相談がありました。診断してみると強度補強をしないまま塗装している部分がちらほらと。うーむ。

鉄骨廊下のサビの補強方法:
オーナー様は「アパートはあと10年くらい使います」とのことで、今後10年を見越した鉄骨補強をご提案します。つまり「10年もてばいい補強」で考えます。

鉄骨廊下の補強工事

この工事の相場費用について:
鉄骨の腐食ダメージの具合や工事条件がまちまちであるため、工事費用も現場ごとに異なります(現場調査が必要です)。お見積依頼等お気軽にお問合せください。

鉄骨補強は「あと何年使うか」で決める

アパート(建物)の外部鉄骨を溶接補強するとき、最初に決めるのは「鉄骨をあと何年使うか」です。この答えによって補強方法や補強範囲は変わります。

使うのが「あと数年」であれば補強範囲は最低限です。この場合、鉄骨の耐用年数ではなく、暫定的な使用を考えます。

使うのが「あと10年以上」であれば、暫定的な延命だけでは老朽化の問題は解決できません。老朽化の原因を踏まえた補強をすることで長期的な使用を目指します。

「残り10年」のための鉄骨補強工事

今回のご相談では、アパートの運用年数を「あと10年は使う」とのことでした。

鉄骨設備が残り10年の役割を果たせるような補強工事を考えましょう。おそらくこの補修工事が最後の鉄骨補強工事となるはずです。

鉄骨廊下を下から見上げる

塗り替え直後の鉄骨廊下なので、見た目はキレイですが「残り10年の鉄骨使用」を見据えるなら、鉄骨補強を事前に検討すべきだったと思います。

上記の写真は廊下を下から見上げています。

床の鉄板が経年劣化によって薄く(業界的には「痩せる」といいます)なっており、従来の横方向だけの下地鉄骨だけでは強度に不安があります。

そこで、横方向だけでなく、縦方向にも骨組みを増設することで、床鉄板に対して負担を減らします。

鉄骨廊下の床補強工事

縦方向の骨組みを増設するため、補強のアングル鋼材を準備してきました。既存の横方向の骨組みと組合せて溶接します。

廊下鉄骨の補強溶接作業

補強アングルを断続的に溶接していきます。

溶接補強した鉄骨廊下を下から見上げる

既存の骨組みと増設した骨組みが交差して「背骨」のようになりました。結果、床鉄板への荷重ストレスを軽くさせます。

この「背骨」は、今後起こり得る「床鉄板がボロボロで交換しないと・・・」という問題(出費)を予防します。床鉄板の交換工事は、居住者様のいるアパートでは避けたい工法です。交換している間は廊下を歩けないわけですから・・。

テープで隠された「さび穴」を鋼板で補強する

テープでさび穴をふさぐ

たまに見かける光景です。私たち鉄工所からすると「あぁ・・・」という例の光景

廊下を支える重要な鉄骨なのに、「テープ」でサビ穴を隠して上から塗装する方法です。鉄骨のダメージ具合などによっては効果がありますが、少なくとも鉄骨の強度復旧になっていないのは明白です。

では「テープ」を剥がしてみましょう・・・。(下の写真)

テープを剥がしたときに見える「錆び穴」

テープを剥がすと、予想通りさび穴が放置されています。

「残り10年」という使命を与えられた鉄骨としては不安のあるサビ穴です。放っておけばサビはどんどん広がって、鉄骨全体の強度ダウンとなります。

【参考】テープで隠された鉄骨の穴を鋼板でカバーする工事例(写真付き):
https://www.m-neko.com/resurrection/facility-maintenance/#i

サビ穴を補強するカバー鋼板

今回の補修工事では、サビ穴の空いた鉄骨(胴差し鉄骨)を補強するために、既存の鉄骨の上から補強カバーの被せて溶接します。

これで鉄骨を交換することなく強度を復活!維持させることが可能です。

筋交い鉄骨で廊下を補強する

今回の補強カバー鋼板と、鉄柱、鉄板床の鉄骨を一体化させるために「筋交い補強鉄骨」を増設します。ちょうど赤茶色の骨材が今回の補強で使用した鉄骨です。

廊下全体が相互に強度を補完し合う状態となり、鉄骨設備は大幅に延命されます。

鉄骨腐食の原因「雨水」のブロックもぬかりなく

モルタル床と鉄骨のすき間は腐食の原因

モルタル床と、廊下鉄骨の間にすき間ができています。これを放置すると鉄骨腐食はどんどん悪化します。

「塗装は塗装屋さん」「防水は防水屋さん」「鉄骨は鉄工所」と分離発注すると、オーナー様が各業者のバランスを見届けながら指揮しなけばならず、上記のような重要なポイントを見落とす場合があります。

私どもはちょっと特殊(?)な鉄工所なので、このような腐食の原因にも対応します。雨水をブロックするためのシール作業を行います。

鉄骨廊下への雨水ブロック

モルタル床と、鉄骨のすき間にシールを埋めた写真です。

この作業によって、補強した鉄骨への雨水浸入を抑止するので補強効果が持続します。

補強されたアパート鉄骨廊下

今回の鉄骨補強工事のテーマは「残り10年」。

床鉄板の補強や、サビ穴補修、筋交い鉄骨、シール作業などの補強テクニクを組合せて「残り10年」を実現させます。鉄骨補強については豊富な経験とアイデアがあります。当社がお役建ちます。