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鉄骨ベランダのギシギシ音は危険信号。原因と補修方法をプロが解説

この記事を読んでいただきたい方:
自宅や所有アパートのベランダの「ギシギシ音」の原因が気になるオーナー様。ベランダ床の修理費用や工事内容が気になり情報収集段階にいるオーナー様。倒壊リスクのような人的被害への懸念を持っているオーナー様向けの記事です。

ベランダがギシギシする原因は床を支える鉄部腐食かもしれません

結果から申しますと、ベランダがギシギシ音がする原因は床を支える鉄部の錆び腐食です。

鉄骨製のベランダは、建物外部に常設されるため雨風や湿気による経年劣化の影響を受けやすいです。「ギシギシ」ときしむような音や沈み込みを感じた場合、多くは床面を支えている鉄骨フレームの腐食が進行している兆候です。

鉄骨ベランダの床を支える鉄骨がなくなっている

床材の下にある鉄部は、モルタルやスノコなどの表面材の隙間やクラックから浸水することで錆が発生し、時間とともに構造が弱ってくると部分的に外れたり穴が開いたりします。放置していると床ごと落ちてしまう事故原因となります。

鉄骨ベランダのギシギシ腐食はよくある?

ギシギシ腐食の可能性があるベランダの例

ギシギシ音は経年劣化のサインですので放置していれば起きるトラブルです。例えば、鉄骨ベランダで樹脂製の床スノコを使っていて15年以上なにもしていなければ起きる可能性が高く、また、鉄骨ベランダで床がモルタル(コンクリート)製であっても長期間放っておけば同じことが起こります。

  • モルタル床の場合:微細なひび割れから雨水が浸入 → 内部鉄骨が錆びてしまう
  • スノコ床の場合:隙間から雨水などが浸水 → 支えの鉄骨が腐食

どちらの場合も、腐食が放置されると徐々に広がり、ベランダ床が抜け落ちるリスクや、構造全体の倒壊事故につながる恐れがあります。

ギシギシ腐食の解決方法は?(モルタル式 / スノコ式)

床面がモルタルの場合のベランダのギシギシ腐食のイメージ解説

床モルタル式のベランダでの解決方法は、床モルタルを支える内部の鉄骨(デッキプレート)鉾湯を加えることで延命補強できます。デッキプレートの蓄積ダメージによって梁鉄骨を増設したり、小さい穴程度であれば形状を模した鉄板でカバーなどします。

床モルタル式のベランダの耐水対策として長尺シートというアイテムがあります。床面に耐水措置を行って浸水腐食を防ぎます。ほかにも防水方法としてウレタン密着防水や、長尺シート耐水工法がありますが弊社では長尺シートをお勧めします。理由はコストと使用制限が短いという点です。

参考:ベランダ床面がモルタルであったときの対策工事

ついつい先送りにしてしまう「建物外部にあ...

床面がスノコの場合のベランダのギシギシ腐食のイメージ解説

床スノコ式のベランダの解決方法は、床スノコを剥がして下地の鉄フレームを露出させてからフレーム増設や交換をすることで強度復旧ができます。ベランダの床スノコでよく使用されている樹脂製スノコは下記のような製品です。

>> タキロン製 ベランダ床デッキ材

「スノコの隙間から水が入らないような構造にできないの?」とご質問をいただくことがありますが、床スノコが一枚ものでない以上は隙間はできますし、屋外の設備である以上は毛細血管的な浸水は抗えません。このことから、鉄フレームに補強を加える工事をしてしまうほうが生涯コスト(製品寿命から逆算した維持費用)は下がります。

どちらの床のケースでも、厄介なのは腐食錆びが広がって構造の危機になるまで放っておくことです。床が抜け落ちてしまうリスクのほか、ベランダ自体が倒壊してしまったニュースも聞くのでご注意ください。

床面ギシギシへのDIY対処と業者の線引きは?

ギシギシ腐食の原因であった下地の鉄材を交換中

ギシギシ腐食の原因であった下地の鉄材を交換工事後

スノコの小さな穴や不自然な隙間など、簡単な修繕であればDIYも可能です。ただし、床面のきしみや沈み込み、下地鉄骨の腐食といった、安全に直結するトラブルは専門業者の診断と工事が不可欠です。(木材で応急処置を施しているベランダも見られますが、木材は腐食が早く、人的事故に直結する危険性があります・・)

床を支える鉄骨強度が健全であるか、そうでないか。が重要です。この見極めは専門業者でないと判別が難しいということと、今後の維持年数によっても工法をアレンジすることもできるかもしれません。

実際の工事風景

ベランダの下地鉄骨の錆腐食の状況

私どものような専門業者の出番は「人的被害(事故)」につながるトラブルである場合です。床スノコを剥がすとボロボロになった鉄フレームが丸見えになります。

ベランダの下地鉄骨の錆腐部の交換工事

ボロボロの鉄フレームだけを部分的に交換することで、工費費用を最小限にした工事ができるのが鉄工所のメリットです。もちろん、鉄フレームが全体的に劣化はしているのですが緊急性の高いものに優先することで「延命」させることができます。このあと、交換した鉄フレームに床スノコを敷けば工事完了です。

また、工事費用については補強方法や足場有無、塗膜クオリティ、資材(床材や耐水アイテム)の選択肢によってピンキリとなりますので相場的な費用はございません。ただ、丸ごと交換する費用の三分の一くらいで延命措置できないと費用対効果として成立しないと思います。現地視察とお打合せをすることでオーナー様のご事情を踏まえた工法と見積をご提します。

要約Q&A

Q:鉄骨ベランダがギシギシという原因は?
A:床を支える鉄部の錆び腐食です

Q:ベランダの床素材による原因の違いは?
A:床モルタルの場合はデッキプレートを支える鉄骨錆びです。床スノコの場合は隙間からの浸水による鉄骨錆びです

Q:ギシギシは放置しているとどうなるの?
A:放置しているとダメージが広がって、床ごと落ちてしまう事故原因となります

Q:業者はどうやって修理するの?
A:床モルタルの場合はデッキプレートが床を支えられるように補強をします。床スノコの場合はスノコを支える鉄フレームを部分的に交換します

Q:業者は鉄骨意外にどんな資材を使うの?
A:樹脂製の床スノコや、耐水措置として長尺シートを使うことがあります

Q:業者は鉄骨意外にどんな資材を使うの?
A:樹脂製の床スノコや、耐水措置として長尺シートを使うことがあります

Q:自分でDIYで解決できる?どこから業者の出番?
A:スノコの小さい穴や不自然な隙間などはDIYで対応できるかもしれません。コーキングなどはホームセンターで売っています。下地となる鉄骨が錆びて穴が開いていたりしたら専門業者(鉄工所)にご相談ください

Q:だいたいどれくらいの工事費用がかかるの?
A:補強方法や足場有無、塗膜クオリティ、資材(床材や耐水アイテム)の選択肢によってピンキリとなりますので相場的な費用はございません。丸ごと交換する費用の三分の一くらいで延命措置を目途として考えることが多いです。

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