この記事でわかること:
鉄骨ベランダの床浮き症状の危険性、コストを抑えた延命補修の方法、工事中のベランダはどうなるの?など、建物寿命に合わせたメンテナンスの選択肢を把握いただけます。

「ベランダの床が少し浮いている気がする」「歩くとふわふわする」 というご相談をよくいただきます。
経年劣化(築30年以上の建物)が起きている鉄骨ベランダの腐食トラブルとして、床板の「浮き・すき間の発生」があります。
目次
放置した腐食トラブルは「突然」起こる
床に関わらず、腐食トラブルは突然起きます。鉄骨の腐食は、ある一定のライン(肉厚の減少)を超えると、わずかな衝撃で一気に破断する可能性があります。
参考:共同住宅の屋外通路の”床が抜け落ち”。原因は老朽化か:北海道ニュース
事故が起きてしまうと、法的リスク(無過失責任)や経営リスク(事故物件)が生じます。事故が起きてから全交換・賠償をするよりも、今「延命補修」を行う方が、コストもリスクも圧倒的に低く抑えられると思いませんか。
ダメージの程度や建物寿命を天秤にかけながら、低コストで延命する補修術もあります。写真付きで施工例を解説します。
放置厳禁!床板の「浮き」が招く深刻なリスク

一見、表面上の劣化に見える「床板の浮き」や「すき間」。でも、トラブルのもとは目に見えない鉄骨内部の腐食にあります。

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雨水の侵入ルートに:
浮いた床板のすき間から雨水が鉄骨内部へ。 -
鉄骨の強度ダウン:
見えない内部からサビが進行し、前ぶれなく、床板が抜け落ちる危険性も。 -
入居者様の怪我リスク:
万が一の事故が起きれば、オーナー様の責任問題に発展しかねない
床板に関する老朽化トラブルで、最も多いのは床板の崩落です。「床板の浮き」から雨水が入り、床板を支える鉄骨(根太)が完全に腐食。ある日、入居者様がベランダに出た瞬間に床が抜け、下の階や地上に転落する・・という事故が発生しています。
二次被害としてよくご相談をいただくのが、問題のベランダ下の私財(衣類・車など)の汚染です。
一見、何の問題もなさそうな鉄骨ベランダですが、デッキプレートや柱など、表面に見えている鉄骨の腐食には気付くことがあっても、普段の使用では目の届かない部位や内部鉄骨は、気付きにくいのです。
交換をしないで延命。費用を抑える補修テーマ

老朽化したベランダを「いちから全部作り直す」には、そうとうな手間とコストを要します。
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工事費(コスト):
解体工事、産業廃棄物処分、基礎工事、外壁補修工事など、鉄骨工事以外にも付帯工事が必要になります -
入居者様やご近隣対策(手間):
工事によって発生する騒音、粉塵に関するご近所ケア、工事中ベランダがなくなる入居者様の生活ケアなど、事前の段取りが必要になります
腐食サビが深刻であれば交換工事をやむなしですが、ダメージの程度や、今後の建物寿命によっては、ベランダを延命補修する方法があるので、下記より実際の施工例を使ってご紹介します。
実践:鉄骨ベランダ補修工事

まずは、隙間を埋める。樹脂モルタル充填。
変形した床板と鉄骨のすき間を、柔軟性のある樹脂モルタルで精密に埋めます。
10M以上の長さがある「すき間」は、場所によって浮いている幅が異なりますが、樹脂モルタルなら柔軟に「すき間」を埋めることができます。

次に、溶接で鋼材増設。
充填したモルタルを抑えるための鋼材を溶接し、既存の鉄骨フレームとも接合。鉄骨強度を底上げします。

最後に、タキストロンで耐水措置。
劣化した床モルタルに耐水性をもたせるため、雨が降っても滑りにくい「タキストロン」を全面に貼り、浸水ルートを物理的に抑えこんでいきます。
参考:タキストロンLB:タキロンマテックス株式会社
※本工事は従来のタキストロンを使用しています
延命がオーナー様に選ばれる理由は?

| メリット | 詳細 |
| 低コスト | 暫定補強で資材や人件費を節約。目安として全体交換工事の20%~50%程度。 |
| 10年以上の延命 | 既存ダメージが軽ければ、定期メンテを組み合わて、10年、15年とさらなる寿命が見込める。 |
| 入居者様負担の軽減 | 既存のベランダがないタイミングがなく、短納期で施工なので、入居者様への生活負担が大幅に削減。 |
ただし、正直を申し上げますと、デメリットもあります。
腐食ダメージが強すぎたり、今後の建物運用期間が30年超となってくると補修だけでカバーしきれない可能性(将来的な予見も含めて)が高くなってきます。
また、既存構造をベースに補強をするので、隠ぺい部にトラブル要因がある場合は、費用対効果が低くなります。
まとめます。
「建物本体の寿命を考えたとき、丸ごと交換だとコスト回収ができないケース」において、残存維持年数に合わせた延命補修という選択肢は、アパートオーナー様に役立つことが多いです。
要約Q&A
Q:鉄骨ベランダの床が浮いているだけなら、まだ放置しても大丈夫?
A:点検をお勧めします。 床板の「浮き」や「すき間」は、内部の鉄骨への浸水、すなわち鉄骨腐食に直結します。放置すると床の抜け落ちトラブルにつながります
Q:ベランダの全面交換と「延命補修」では、費用にどれくらいの差がある?
A:ケースバイケースですが、全面交換の約20%〜50%程度のコストで施工可能です。 全面交換(作り直し)には、解体費、廃棄物処分費、外壁補修などの付帯工事が発生し高額になります。一方、当社の延命補修は既存の骨組みを活かして工事するため、工事費を圧縮でき、入居者様への生活負担も最小限にできます
Q:補修工事には、どれくらいの時間がかかる?
A:工事ボリュームによりますが、1週間~2週間をいただくことが多いです。作業がほぼ屋外作業で、雨天順延となる内容なので、多少の予備期間を設ける必要があります
Q:延命補修をすると、あと何年くらい持たせることができる?
A:ケースバイケースですが、定時メンテナンスを組み合わて、10年〜15年の延命が見込めることが多いです。ただし、鉄骨の芯まで腐食が進み、強度が著しく低下している場合は補修が困難なケースもございます。「現場調査」で、状況確認することをお勧めします
