この記事を読んでいただきたい方:
所有する外階段を歩いた時に「沈む?たわむ?フワフワする?」等の違和感を感じているオーナー様、補修費用をできるだけ抑えつつ、安全性を確保する方法を探しているオーナー様向けの記事です。
結論から申し上げますと、床鉄板が沈み込む現象はピンポイントな補強作業によって強度復旧できることが多く、工事費用も安く抑えることができます。
目次
その違和感(ふにゃっ)を放置していませんか?
「階段のサビ穴を直してほしい」というご依頼で現場を調査した際、階段を上り下りする時にステップが「ふにゃっ」と沈み込む違和感に気づくことがあります。
この沈み込みは、多くの場合、鉄板腐食による劣化のサインです。しかし、劣化はゆっくりと進行するため、日常的に利用していると変化に気づきにくいのが実情です。
最初は「少し軋むかな?」程度の感覚的な違和感でも、放置すればステップの歪みは大きくなり、最悪の場合、ステップが抜け落ちて人的事故につながる危険性があります。この記事では、その原因と、交換よりも費用を抑えられる効果的な補修方法を分かりやすく解説します。
なぜ踏み板は沈むのか?主な2つの原因
鉄骨階段の床がなんとなく沈むなどの違和感について、おおよそ2の原因を解説します。
原因(1) 純粋な経年劣化(錆び)
鉄製階段は、雨風にさらされることで徐々に錆びが進行します。鉄板の錆びはだんだんと厚みがなくなって薄くなってきます。その結果、人が歩く荷重に耐えきれなくなり、踏み板がたわんだり、沈んだりするようになります。
- 初期症状: 歩行時に「フワフワ」「ふにゃっ」とした感覚がある
- 進行期: 目に見えるサビ穴が発生し、沈み込みが大きくなる
- 末期症状: 荷重をかけるたびに鉄板がダメージを受け、抜け落ちる危険性が高まる
進行期くらいのタイミングまでであれば、簡易的な補強工事で対処できる可能性が高く、補修費用も安価で済みます。末期症状となると、問題の鉄板の交換工事が必要になることが多いです。
原因(2) 広い面積を持つ踏み板の強度不足
前述の原因(1)のほかに、構造的事情が絡んでくることがあります。例えば、階段のコーナー(曲がり角)や踊り場(水平の小上がりスペース)は、他の段に比べて踏み板の面積が広くなっています。こうした広い一枚板は、中央部分を支える下地鉄骨がない(頼りない)場合が多く、荷重に対して強度が不足しがちです。
新品のうちは問題なくても、経年劣化による腐食が加わることで、強度の弱点が露呈し、沈み込みが発生しやすくなります。
この問題について、本来の交換工事を回避して低コストで補強工事で延命できることが多いです。ピンポインに補強を加えて解決することで工事費用も通常の半分以下、3分の1以下に抑えることが可能です。以下、具体的な補強工事の実例です。
ステップのピンポイント補強工事
沈み込みが発生しているステップの裏側に、新たな鉄骨のフレーム(フラットバーなどの厚い鋼材)を溶接して取り付けます。赤いラインの部分にフレームを溶接して増設します。
実際に補強フレームを溶接した状態です。床の裏側に「一本の背骨」を通すように、ステップの強度を物理的に復旧させます。この結果、荷重が分散され、沈み込みが根本的に解消されます。
経年劣化を防止する塗膜で延命効果
補強工事で安全性を確保した状態をキープするために、鉄の酸化を防ぐ鉄部塗装を施します。弊社では日本ペイントのウレタン塗膜を使用しています。
虫歯治療のあとに銀歯をかぶせるのと同じイメージで、高耐久のウレタン塗料で厚い塗膜を形成し、鉄部を保護します。これにより、補強効果が長持ちし、階段全体の寿命を大幅に延ばすことができます。
まとめ:安全性と資産価値の維持のために
いかがでしょうか。過不足のない適切な補強と塗装を施すことで、コストを最低限にしながら外階段は以下のように生まれ変わります。
- 安全性の回復: 歩行時の沈み込みや不安がなくなり、安心して利用できる
- コストの最適化: 大規模な交換工事を回避し、費用を抑制できる
- 資産価値の維持: 建物の寿命を延ばし、長期的な資産価値を守る
- (注意)美観の復旧はそれなり:既存鉄部の影響で錆び垂れ出る可能性
鉄骨補修工事は費用を抑えつつ安全性をキープすることが目的です。既存鉄骨を継続利用することになるため、錆び垂れの発生は早いです。外観維持はそれなりでも安全性優先!ということであれば、オーナー様と弊社は最強コンビです。錆び補修相談をお気軽にご相談ください。
要約Q&A
Q:鉄骨階段の床がふにゃっと沈むような違和感の原因は?
A:床鉄板の経年劣化による強度ダウン、構造事情による腐食問題である可能性が高いです。早期であればピンポイントの補強で済みます。放置すると床抜け事故の要件を満たします
Q:床鉄板の沈み込みを解決する工事方法は?
A:問題の床鉄板の裏側に新たな骨組みを溶接で増設することで、物理的に強度が上がって沈み込みを解消します。
Q:ピンポイントな補強工事なら費用は抑えられる?
A:はい。工事ボリュームを節約することで使用鋼材の物量減、現地作業の時間減となるので工事費用を安く抑えられます。交換工事と比べれば半額以下、3分の1程度の費用で完了します。
Q:補強工事で新品のような仕上がりになる?
A:補強工事は、既存設備を流用して工事をすることで、資材費や人件費をセーブしながら安全性を追求する工事です。仕上げ塗装をしたあと、補強効果は維持できていても、既存設備からの錆び垂れや塗膜膨れ発生などのリスクが残ります。
参考:踏み板のアングルピース補強工事とは?簡易措置でも安全性を確保
参考:アングル材補強の裏技補強ですがデメリットにもご注意