この記事を読んでいただきたい方:
設置後20年以上のブロック塀の劣化原因をリスト化しました。ブロック塀の交換工事の手順・工期・費用の説明や、工事の流れを写真で解説しています。ご自宅やアパートの塀に不安を感じるオーナー様向けの記事です
「うちのブロック塀、表面がボロボロでひび割れも・・。これって大丈夫?」
「塀が少し傾いているし、ぐらぐらする。倒れるのではと心配。どうしたらいいの?」
ご自宅やアパートの古くなったブロック塀を見て、このようにお悩みのオーナー様はいらっしゃいますか?
この記事では、ブロック塀の劣化にお悩みのオーナー様に様向けに、危険な状態を見分けるポイントから、業者による補修・交換の適切な流れまでを分かりやすく解説します。
ブロック塀はボロボロになる?原因は酸化や中性化
ブロック塀の劣化は、主に以下の3つの要因が絡み合って生じます。
- 内部の鉄筋のサビ:
ブロック塀の内部には、塀の強度を保つために、鉄筋が縦横に通っています。この鉄筋が雨水の侵入などで錆びると、膨張して内部からブロックを破壊し、ひび割れや崩れを引き起こします。塀が傾いている場合、この内部鉄筋の腐食で直立姿勢を維持できていない可能性があります。20年くらい経ったブロック塀に見られる現象です。 - コンクリートの中性化:
本来アルカリ性のコンクリートが、長年、空気中の二酸化炭素に触れることで、アルカリ性が中性化し、内部の鉄筋を保護する力を失います。これにより鉄筋が錆びやすくなります。 - ひび割れからの雨水侵入:
表面の小さなひび割れを放置すると、そこから雨水が内部に侵入し、鉄筋のサビや冬場の凍結による破壊を加速させてしまいます。
これらの症状は、人間で言えば「背骨がなくなった状態」に近く、いつ倒壊してもおかしくない危険なサインです。
ほか、ブロック塀に想定される耐久性の節目は30年目、内部の鉄筋が腐食し始めるのは20年目といわれています。
参考:ブロック塀の劣化のメカニズムとメンテナンス:東京都都市整備局の資料
参考:あんしんなブロック塀を目指して:一般社団法人 日本建築学会の資料
自分で修理(DIY)は推奨しません
「少しのひび割れくらいなら自分で…」と考えるオーナー様もいるかもしれませんが、ブロック塀の構造的な問題である場合は、DIY修理での解決はできないです。
表面的な補修で見た目を整えても、内部の鉄筋の腐食は進行し続けます。不適切な修理は、かえって倒壊のリスクを高めることになりかねません。特に、高さや構造に関する建築基準法の規定もあり、安全基準を満たさない補修は推奨いたしません。
万が一、倒壊して通行人や隣家に被害を与えた場合、所有者として法的な責任を問われる可能性もあるので、「ブロック塀にひび割れがあってボロボロだ。グラグラする。」と感じたら、業者に相談すべきタイミングといえます。
また、民間的側面として、ブロック塀周辺の施工環境を把握してもらうことも大切です。ブロック積み直しのための敷地状況や埋め込み状況、隣地との構造関係など、実際に工事をする際の諸条件を確認する必要もあります。
工事のご相談をいただいた場合は、現地で以下の点を確認します。この確認をせずに見積もりを出す業者には注意が必要です。
- 塀の劣化状況:傾き、ひび割れ、鉄筋の露出などを詳細に確認
- 敷地の状況:工事環境(吸塵機)や資材の搬入経路などの確保確認
- 隣地との関係:境界線の確認や、お隣の敷地との確認
- 解体・撤去の障害:フェンスや植栽等の障害物、給湯器等のインフラを確認
これの条件を経て「ただ直す」から「どうすれば安全かつ最適に直せるか」へと視点が変わり、具体的な計画が見えてきます。
実践:ブロック塀交換工事
既存のブロックを塀を解体します。作業音や粉じんが多く出るので、工事前のご近隣のアナウンスが必要です。吸塵機を使って慎重に解体します。
遣り方(新設ブロック塀の位置や高さを仮材で設置する作業)を経て、ブロックを積んでいきます。内部に鉄筋を挿入しながら進めます。
新しいブロック塀への交換が完了しました。
ブロック塀は、ご自身の資産であると同時に、隣家や通行人の安全にも関わる重要な構造物です。「おかしいな?」と不安を感じたら、業者に現状を見てもらうことから始めましょう。現状に合った最適な修理方法を知ることが、安全と安心への第一歩です。
当社は施工店ですが、直接お問合せいただいても対応できますのでお気軽にご連絡ください。
参考:ブロック補修補強あれこれ
ブロック塀の修理の方法はいろいろです。今回の「ブロック塀を新調する工事」以外にも、ぐらぐらを鉄骨で固定したり、部分的にフェンス柵にリメイクしたりできます。
「ブロック基礎」を流用した鉄骨補強工事
「ブロック基礎」ごと作り変えた鉄骨補強工事
ブロック塀を途中から「アルミフェンス」にするリメイク工事
要約Q&A
Q:ブロック塀の耐久性がなくなる原因は?
A:主な原因は、内部にある鉄筋のサビです。 雨水がひび割れから侵入し、鉄筋が錆びて膨張することで、ブロック塀は姿勢を保てなくなります。この結果、塀が傾いたり、ぐらぐらしたりします。※ニュースでは鉄筋すら入っていないブロック塀があるとも聞きます・・
Q:ブロック塀の寿命はどのくらい?
A:目安として、内部の鉄筋が錆び始めるのが約20年、塀全体の耐久性の節目が約30年といわれています。設置から20年以上経過しているあたりから注意が必要です。
Q:ブロック塀の交換費用は?
A:交換する量が多いほど割安になります。逆に「数メートル」だと高額になる場合があります(人件費の関係)。例えば15M以上のブロック塀であれば、1メートル当たり5万円前後が想定されますが、実際には塀の高さ、厚さ、化粧ブロック、仕上げ、処分方法などによって総合的な費用が算出されます
Q:ブロック塀の交換時間は?
A:先ほどの条件と同じく、1メートルくらいであれば、7~10日間ほど必要です。(晴天時)ほか、施工難易度や施工環境、仕上げ仕様によって変動することがあります