この記事を読んでいただきたい方:
所有する建物(戸建て、アパートなど)の鉄骨設備に錆を発見し、自分で修理(DIY)すべきか、専門業者に依頼すべきか判断に迷っているオーナー様向けの記事です
自宅やアパート階段専門知識はないけれども、維持管理をできるだけ自身で管理したいオーナー様は少なくありません。収支の事情も伴いDIYで対応したいという方が検索されてきたと思います。
この記事は、普段から鉄骨補修工事に従事する弊社が「DIYするならこうしてください」という解説と「でもこうなったら業者に相談して」という境界線を解説します。これを読まれたオーナー様の次のアクション(DIY?業者相談?)を支援できればと思います。
目次
どんな錆びならDIYで対処できる?
端的に言うと下記の条件であればDIYで対処できる可能性があります。
- 建物の安全性や強度に影響しない表面的な経年錆び
- 門扉やフェンスなど「想定される怪我」が人命に関わらなそうな設備の軽い錆び
つまり、問題の箇所が欠損(欠落)すると事故になるかどうかです。例えば門扉の縦格子の1本がぽきっと取れても人命に関わりませんが、ベランダの柱がぼきっと折れれば人命に関わります。
また、錆びを指などで拭き取れる、もしくは拭き取ったあとの鉄部がしっかり強度があるなら、まだ業者に相談せずに自身で対応できるかもしれません。
錆び補修DIYで必要な道具と事前準備は?
前述のような軽度の錆びであれば以下の道具はホームセンターなどで買ってきてください。店員さんに相談しながら買うと良いです。
- 軍手
- マスク(粉塵や鉄粉から喉を守る)
- 保護メガネ(粉塵や鉄粉から目を守る)
- 汚れて良い服
- ナイロンたわし(ケレンのため)
- 錆止め塗料(スプレータイプでOK)
- (火器使用の場合)防炎シート / スパッタシート
- (火器使用の場合)消火器
防炎シートやスパッタシートは、火の粉が発生するような工具を使うなら必須です。建物壁面や引火性のある私物を保護するために準備してください。保護するエリアが広ければ防炎シート、狭ければスパッタシートが便利です。ホームセンターになければ地域の金物屋さんでも売っています、オンラインで買うこともできます。消火器も用意してください。
作業場所の安全確保、保護の方法?
作業を行うことで自分の服が汚れます。また、作業によっては近くの壁なども鉄粉や錆び粉で汚れます。汚れてまずいところは事前にしっかり保護しましょう。
壁などの養生は、プラスチックベニヤが軽くて取り回しが効くので便利です。ホームセンターで数百円で売っています。捨てる予定のシーツとかも活躍しそうです。作業を行うのが室内であれば換気にも気を付けてください。
もし火器を使うのであれば上記のプラスチックベニヤやシーツは絶対NG。安全確保はそうとう気を付けてください。防炎シート、スパッタシート、溶接手袋(分厚い手袋)、消火器など。このレベルになると業者レベルですが・・。
実践DIYケレン:鉄表面の錆びた部分を削る
ケレンというのは、簡単にいえば鉄表面にある鉄錆びを削り落とす作業を言います。とても大事な工程で、あらゆる補修作業の下準備となります。
実際の作業としては、鉄の腐食している部分を「ナイロンたわし」などで擦ります。ただ、あまり強く擦ると鉄に穴が空いたり、一部が取れてしまうかもしれないので力(ちから)加減に注意してください。
ホームセンターにはナイロンたわしの他にも「皮すき(金属製のヘラ)」という道具も売っていて、これを使ってザザーっと鉄表面をこそいだりもできます。
※プロは補修計画に合わせてケレン強度をコントロールしますがDIYではそこまでは必要ないです。本来の腐食した鉄部へのケレンは「溶接対応か塗膜対応か」「死膜(すぐに剥がれる塗膜)か活膜(鉄部に密着して簡単に剥がれない膜)か」を見極めながら進めます。
実践DIY錆止め:鉄錆びの再発を抑止する
ケレンをした鉄表面に錆止め塗装(スプレー)をします。錆止め塗料もホームセンターで売っています。いろいろな種類があるので店員さんに相談すると良いと思います。
また、錆止め塗材は油性が多いので、上からさらに塗料を塗るときはしっかり乾燥期間を設けてから塗ります(乾燥期間もパッケージに記載されています)。
ケレンをしても、深刻な腐食であった場合は「鉄の内部も錆びが浸食している」ため、錆止め塗装をしても中からじわっと錆び汚れが出まてくることがあります。これはDIYでも業者でも程度の差こそあれ同じ現象が生じる可能性があります。
DIYでの錆び補修は上記の流れで対応で進められるでしょう。作業前の準備は念入りにしてくださいね。
でも構造部の錆びや、アパートなら鉄工所の出番
どこから専門業者に頼むのか・・簡単に言えば「設備の構造部位の腐食であれば鉄工所」です。小さな穴であればシーリング材やパテで埋めることも一手かと思いますが、場所(部位)によっては「パテ等では解決しない、強度危機に繋がる錆び」です。人的被害に繋がるリスクがあります。
例えば・・
- 鉄骨階段のステップ(段板)
- 鉄骨踊り場の柱
- 鉄骨廊下の天井(デッキプレート)
上記のような箇所は「構造部」です。危険な錆び腐食となるのでご注意ください。
また、「賃貸建物の鉄骨設備(階段とか廊下とかベランダ等)の腐食であれば鉄工所」です。リアルな話ですが、自宅の鉄骨設備で怪我をするなら自己責任でも、アパートなどの賃貸物件で居住者が怪我をすれば安全管理義務の放置となって賠償責任問題が生じます。刑事責任はよっぽどでなければ問われませんが業務上過失致死傷罪と無縁ではないです。
いかがでしたでしょうか。鉄骨の錆び腐食は「早期発見・早期対応」が危機回避とコスト節約に繋がります。ご自身での判断に迷ったとき、DIYで限界を感じたときは、弊社までお気軽にご相談ください。
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