この記事を読んでいただきたい方:
外階段への耐水対策として塗布防水をご検討の建物オーナー様向けの内容です。この記事では外階段にタキステップ(長尺シート)施工が圧倒的に有利であることを解説して証明します。
外階段ステップへの耐水効果に各段の差
先に結論を言いますと、階段のステップ(踏み板)が「モルタル床」である場合の耐水補修を行う場合は、従来の塗膜防水よりもタキステップに代表される長尺シートのほうが延命効果が高いです。その理由を施工店の視点でわかりやすく解説します。
階段の構造を理解してもらうと納得していただけると思います。以下、説明していきます。
ステップの「断面」からわかる浸水経路
上の写真は腐食した外階段です。両方とも床面がモルタル(コンクリート)になっていますね。よく見かけるタイプです。この階段の修理に重要な点は断面構造を知るとわかってきます。どのようになっているかというと・・・
さきほどの外階段を断面で見たイメージです。赤いラインがステップの断面の鉄板を表しています。専門的にいうと蹴上板(垂直面の鉄板)があるタイプと無いタイプの2種類の断面形状です。それで、このステップを解説用に作ってみました(下記)。
ステップの断面形状を実際に作ってみました。赤いラインが鉄部分です。「お盆のような形に作った鉄板の中にモルタルを流し込んで作られている」のがわかりますでしょうか。
この鉄板とモルタルの隙間が決定的な浸水経路を作ってしまいます。外階段修理を年間100件近くやっている弊社が、経験値としてご説明する重要ポイントです。
さて、浸水経路のご説明のあとは、対応策としてタキステップ敷設による耐水効果がいちばん高い理由を解説します。
ステップへの耐水方法の違い(塗膜防水・タキステップ)
まず、タキステップに代表される長尺シートの場合、ステップ先端の鉄部分ごと厚いノンスリップ素材で覆います。登り下りで荷重がかかり続けてもほとんど摩耗せず浸水経路を塞ぎます。これが延命補修を専らとする弊社がタキステップを一番におすすめする理由です。
塗膜を使った耐水方法はこのようになります。この場合、塗膜はモルタル面にはしっかり密着しますが、ステップ先端にある鉄部分への密着部分は数ミリ前後しかないのがわかりますね。この状態だと、登り下りによる頻繁な荷重で塗膜が摩耗して薄くなり剥がれてしまいます。結果的に、摩耗して剥がれた塗膜に浸水経路が作られて内部腐食が早く発生します。
参考に、こちらがよく見る「ノンスリップ金物」です。登り下りで滑らないように設置されるものですがこの製品はビスで固定されます。経年劣化によってビスの緩みや隙間を経路としてモルタルに浸水するリスクがあります。特に補修工事で後からノンスリップ金物を施工するのはおすすめできません。比べてタキステップは床面にビスを打設しない(接着する)ので浸水経路がなくなることも優れた点です。
いかがでしょうか。実際に工事を経ての経験としてタキステップの有能さを解説させていただきました。階段の延命補修としてのタキステップ活用方法はお気軽にご相談ください。
タキステップを長持ちさせるために
タキステップ(長尺シート)を長持ちさせるための豆知識として参考に解説させていただきます。
これは長尺シートだけのお話ではないですが、長尺シートを敷設した床面には鉢植えなどを置かれると、鉢植えに蓄えれた水(薬品を含んだ水)が床面に接することは好ましくありません。また、ペットの糞尿なども品質上好ましくありません。ワックスなどで清掃すると防滑性を損なう可能性があります。
また、長尺シートは敷設範囲の周囲にコーキング(シール)をしますが、このコーキングが経年劣化によってヒビができたり破断したりすると、隙間から浸水する懸念があります。コーキングの劣化具合をたまにチェックしてメンテナンスしたり、予め長尺シート敷設前に一定範囲にウレタン防水(線防水)を行うことで長い耐水効果を維持することができるので、結果として階段の腐食から長期間守ることができます。
なお、これもタキステップ(長尺シート)に限ったことではないですが、年数を経た床面への耐水作業を行うと、それまで床に染み込んでいた雨水がシートの上に残る可能性があります。鉄骨が延命された証拠でもありますのでオーナー様には合わせてご理解をいただく形になります。