この記事を読んでいただきたい方:
自宅玄関などの鉄柱の錆び補修について交換ではなく簡易的な補修工事があるか調べておられるオーナー様、既存の鉄柱のまま、短期間・低コストの補強を済ませたいオーナー様に向けた記事です。
ご自宅の玄関を支える鉄骨柱の補修方法、建設会社や大工さんを呼んで、高額な交換工事をするしかないと思われていませんか?「このまま放置して折れたりしないだろうか…」「鉄柱を交換するとなると天井や地面を壊したりして大掛かりな工事になるのでは?」とご不安なオーナー様もいらっしゃると思います。
結論からいいますと、既存の柱を交換せず、低コスト短期間で溶接補修する方法があります。
ダメージ範囲や解決要因にもよるので万能な工事ではないものの、かなりケースで溶接補修だけで解決可能です。今回の鉄柱錆びのご相談も、錆びた鉄柱を交換しないで補強する工事で解決しました。※建物の残存年数を考慮のうえ
どうして玄関の鉄骨柱は錆びやすいのか?
こちら、錆びている鉄柱の根元の写真です。錆びによって柱全体に錆びが湧いて表面がボコボコしており、根元の方では穴が開いています。
玄関の鉄骨柱が腐食トラブルになりやすいのは何故か?その理由は、鉄骨柱の多くが「角パイプ」という、厚さ2〜3mm程度の、内側が空洞の中空型パイプで作られれていることも原因のひととです。
中空型パイプの弱点(1) 内部の腐食に気づきにくい:
表面にサビが出始めたときには、すでに内部では腐食がかなり進行し、強度が落ちているケースがほとんど。気が付いたときには深刻な錆び穴ができていることも。
中空型パイプの弱点(2) 根元に水が溜まりやすい:
パイプの内部に浸水した湿気は、逃げ道がなく、結露でさらに水が発生して、パイプの根元に溜まっていきます。その結果、根元から腐食が始まります。に湿った状態になるため、内側から腐食が急速に加速するのです。
問題点が明確になれば、対策も的確に行えます。必ずしも高額な交換工事が唯一の解決策ではありません。費用をかければ解決するかどうかは別問題です。
鉄骨柱錆びを延命補修した2つの実例
建物の残存年数と工事費用のバランスを踏まえて、以下の2つの実例を組み合わせた延命補修を行いました。(※工事のポイントを図で解説します)
(1)鉄板カバー工法:鉄骨柱をそのまま残して、外から鉄板で巻く
もともとの鉄柱を撤去せずに(撤去も可能だが工費が上がる)、まるで骨折した箇所をギプスで巻くように、弱った柱を鉄板で覆って補強します。既存の柱を活かすため、解体費用や廃材処分費がかからず、コスト節約に貢献します。
(2)コン巻き:鉄骨柱の根元耐水
錆び腐食の最大の原因である「浸水(湿気)」から柱の根元を物理的に保護します。柱の根元をコンクリート(モルタル)で固めます。これを「コン(根)巻き」と呼びます。
鉄骨溶接補強工事で1両日、塗装で1両日くらいで完了
補修工事の後、仕上げにウレタン塗料で鉄部全体をコーティングし、錆びの再発を抑制します。この一連の工事により、鉄柱の強度は回復しました。この状態であれば、今後10年~15年は安心して過ごすことができます。
また、工期の短さも魅力です。塗料の乾燥時間(オープンタイム)を含めても、作業は2~3日で完了します。
「柱」という重要な部分だからこそ、錆びや穴を発見したら放置は禁物です。しかし、建物の寿命や予算を無視した過剰な出費には慎重になるべきです。
なんでもかんでも「まずは解体しよう」「すぐ交換しよう」と派手な工事から考えるのではなく、「交換以外の策は?」「このまま延命できないの?」と立ち止まってみてください。錆び穴が空いていなければDIYで腐食補修することもできるかもしません。
【参考】鉄骨サビの補修方法の種類と効果
要約Q&A
Q:玄関の鉄骨柱の錆び、放っておくとどうなる?
A:錆びている箇所が柱の根元だとすれば、根元から柱が折れて、玄関屋根を支えられなくなります
Q:なぜ交換工事より安いの?
A:根本的な解決ではなく、延命措置だからです。資材費、人件費が全く異なります
Q:鉄柱カバー工法で何年もつ?
A:柱と玄関の接合方法によりますが、解体が必要な構造でなければ15前後の維持が期待できます(塗り替えはしてくださいね)
Q:補修工事の良いところは?
A:交換工事と違って暫定措置となるので低コスト、短納期であることです
Q:延命補修の費用は?
A:工事内容によりますが、相場観としては、交換工事の3分の1から半額くらいで実現できるようご提案することが多いです
Q:DIYで補修はできる?
A:構造鉄骨なので、専門業者の方が安心です。ちょっとした錆びであればDIY補修でも解決できるかもしれませんが、穴が開いているなど、溶接が必要な補修は鉄工所にご依頼ください