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鉄骨階段の交換は「設備寿命の時間差」の費用問題を考えるべき?

この記事を読んでいただきたい方:
鉄骨階段の修理で「交換」を考えているオーナー様に、費用面の視点から考え直してもらえる機会になればと思ってこの記事を書きました。

外部階段の延命補修

この工事の相場費用について:
鉄骨の腐食ダメージの具合や工事条件がまちまちであるため、工事費用も現場ごとに異なります(現場調査が必要です)。お見積依頼等お気軽にお問合せください。

鉄骨設備の腐食危険度は専門業者でないと判別しにくい

ボロボロの鉄骨階段

この写真のように、長く修理をしていない鉄骨階段があるとします。

実はオーナー様にとって、鉄骨の腐食ダメージは判別しにくいです。何故かというと、どのくらいの腐食が、どのくらい危険なのかがわかにくいからです。それ故に、鉄骨の塗装工事だけで終わらせてしまい、鉄骨腐食の問題をスルーしてしまうケースがあります(修理が終わった気持ちになってしまう)。このトラブルでご相談をいただくことが多いです。

良心的な業者さんなら「これは塗装前に補修したほうがいいですよ」とオーナー様に進言してくれるところもあるのですが、詰め物(パテ類やシーリング類)や張り物(アルミテープ)そのまま仕上げて終わってしまうケースもあります。

もちろん、工事費用と安全性のバランスで工事内容を取捨選択した結果、シーリングを使うケースがあります。ただし「強度懸念の視点から緊急性がないとき(ない箇所)」であることが条件。つまり、本来は鉄骨塗装は危険な腐食を補修してから行うべきなのです。定期的なサビ補強をしていれば鉄骨階段はアルミ階段より長く維持できるのに。

30年、40年・・と適切なメンテナンスをしないままでいると、腐食状況は深刻になり「もうこれは鉄骨階段を交換するしかないか・・」と悩んでしまうかもしれません。でも、実は意外と知られていないのですが、鉄骨階段などの腐食は補修延命できるケースが多いです。補修延命という選択肢がないまま「交換工事」を決めてしまうのはもったいないです。

もったいない大きな理由は「工事費用で損をするかもしれない」「日常生活に支障をきたす」という点です。

古い鉄骨設備を交換すると、建物との「寿命の時間差」ができて損をする

築年数が経ったアパート(建物)で、鉄骨階段を新調することはやや覚悟が必要です。それは、おそらく交換された鉄骨階段は建物よりも寿命が長くなることです。

例えば、建物の維持年数を10年程度と見積もっているオーナー様がいるとします。鉄骨階段のメンテナンスを放置していて交換工事をしたとします。交換した鉄骨階段のおかげで上り下りの安全性は確保できたかもしれません。でも、新調した階段は30年以上の寿命があるので、建物の寿命を追い越して「寿命の時間差」が生まれてしまいます。

階段(30年以上)>>(寿命)>> 建物(10年)

建物より階段が長生きしても意味がありませんね?ご資産の運用計画に「ねじれ」が生まれて損をする可能性が高いということです。もちろん補修延命には「完全復旧でなはない」という側面があり、補修後も定期的にメンテナンスをしなくてはいけませんが、新調した階段にも同じようにメンテナンスしなくてはいけないし、最終的なトータルコストとして安く済む可能性が高いのです。

交換工事中は日常生活に支障をきたす

腐食した鉄骨階段

もし、既存の鉄骨階段を交換しようとすると、階段の根元を固定している基礎部分(コンクリート)を解体しないといけません。また、階段が建物外壁と接していたり部分的に壁に埋め込まれている場合は、階段撤後の壁面補修(雨漏りのリスクあり)も必要です。

鉄骨階段の踊り場サビ

何が言いたいのかというと「鉄骨階段を交換するには、交換以外の工事も必要になる」ということです。

鉄骨階段を使っている居住者様(オーナー様)は工事中に「階段がない」状態になります。改築工事と新築工事は「日常生活が始まっているか否か」という点で大きく違います。すでに日常生活に含まれている設備は「交換している間は生活に支障をきたす」ことがデメリットになります。

できるだけ延命補修で長く使ってほしい

補修した鉄骨階段

こちらが既存の鉄骨階段を部分的に改修してそっくりに作り替えた階段です。既存コンクリートもそのままで、壁面との接合問題も回避しています。

コンクリートは再利用しての階段補修

鉄骨階段の踏み板部分です。既存階段と同じく踏み板はチェッカープレートを使用。

鉄骨階段の踊り場

交換された踊り場は外観は見た目はそっくりでも少し工夫をしてあります。

踊り場の鉄板は端部を下に折り曲げています。これは、端部を曲げることで雨水の水切り対策になります。また、鉄板の厚みも調整。耐候性も強くなるのでしっかりした鉄骨階段になります。

踊り場の筋交い補強

踊り場を支える「筋交いパーツ」です。

建物側に固定しているコーチボルトは、以前の位置とはズラして打ってあります。同じ場所に固定してしまうと、以前のビス穴に固定することになり、ビスが緩んでしまうからです。

鉄骨階段のウレタン塗装

修理工事が完成しました。

もちろん、腐食状況によっては交換するしかないケースもあります。
参考:アパートの鉄骨階段をそっくり交換する工事

交換か、延命か。補修工事の大切な考え方

再度申し上げますが、築年数が経った建物で鉄骨階段を新調することは、前述の「建物と設備の寿命」を天秤にしながら考えていただければと考えます。鉄骨階段も建物本体と同じくらいに寿命を迎えれば良いので、鉄骨サビが出てきたら延命修理をしながら建物本体の寿命と合わせる事が費用対効果として理想であると当社は考えます。

補修工事の究極は「交換」です。語弊を恐れず書きますが、そこからどれだけ「安かろう悪かろう」で工事費用を絞っていくかが補修工事のポイントと言えます。

なかなか業者から聞く言葉ではないと思いますが、それが安全性とコストのバランスで運用してかなければならない「オーナー様の現実」であるし「延命の本質」だと考えます。このホームページがオーナー様限定のサービスとしているのはその為です。

アパート(建物)の維持は長期的な資金計画が必要ですよね。メンテナンス資金は貴重な家賃収入から捻出されるわけです。当社はオーナー様の目線に合わせて延命工事をご提案します。ご相談ください。