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【他社お手上げ】鉄骨ガレージを修繕して復活させます

この記事を読んでいただきたい方:
自宅の鉄骨ガレージがサビでボロボロになり、他社から「修繕は難しい」と断られてしまったオーナー様、新品のような寿命ではなく10年、15年程度の延命ができればOKというオーナー様向けの記事です。

鉄骨ガレージ修繕工事

「鉄骨ガレージの錆び補修を工務店さんに相談していたのだけど、途中から返事をくれなくなって・・。補修できる?」と、弊社に直接ご相談をいただきました。

補修が可能か、というのは「あと何年分の?」というキーワードが必要ですが、弊社はあまりギブアップしたことはありません。

相見積をして、費用がバラバラだったことありませんか

鉄骨ガレージの修繕前の打合せ

補修相談をしたのだけど、途中から返事がこなくなったことがありませんか?また、相見積をして、業者によって工事見積や工法がバラバラになったことはありませんか?

その原因は、「あと何年分の修繕なのか」が共有できていないから。ではないですか?

単に「修繕したい」という相談だと、業者に判断基準を委ねてしまうことになります。そうなると、「どこまで、どのように直すか」が業者によってバラバラになります。その結果、オーナー様は、それぞれ見積書の金額以外に、補修内容や範囲、得られる効果を把握しないといけなくなります。

今回のご相談と工事方法に関して、必要な情報は下記でした。

  • このガレージを、あと何年くらい使いたいか?
  • 修繕において、最も優先したいことは何か?(例:安全性?見た目?コスト?工期?)
  • ガレージを今後どのように利用していきたいか?

上記のいずれも、工事費用賢く絞って、現実的な修繕プランにするために必要な情報です。

【診断】あなたのガレージはどこが危険?修繕ポイント

修繕工事では「選択と集中」をしないと予算が際限なく上昇します。事前の打合せで定めた方針に基づき、今回は以下の3つの修繕ポイントを重点的に補修します。

鉄骨ガレージの胴差鉄骨

1.【構造の危険】屋台骨である「胴差(どうさし)鉄骨」の崩壊リスク:
ガレージの骨格ともいえる重要な鉄骨に穴が開き、構造強度を完全に失っていました。放置すればガレージ崩壊の危険があるため、最優先で補修る必要があります。ここは外せない補修箇所になります。

鉄骨ガレージの床デッキ(樹脂デッキ)

2.【利用上の危険】2階の床「樹脂デッキ」の老朽化:
床が劣化し、人が乗ったり物を置いたりすると不安な沈み込みがあって危険な状態でした。今後も洗濯物干し場としての利用をご希望されていたので、安全に利用できるスペースとして復活させます。

鉄骨ガレージの目隠し波板の老朽化

3.【付帯設備の経年劣化】隣地との「目隠し波板」の劣化
構造上の問題ではありませんが、プライバシーと近隣への配慮から交換を決定しました。ガレージのすぐ脇が通学路という事情があり、ガレージ側面の目隠し波板の交換を行います。写真は施工前の状況です。

大きな修繕ポイントは上記の3つですが、補修対象によって修繕ポイントは異なります。オーナー様の今後の利用シーンに合わせて、修繕の優先順位を決定することが大切です。

【実践】修繕工事 ~骨格の再構築をする~

ガレージ鉄骨の通し梁修繕

腐食して強度を失った「胴差鉄骨(ガレージの奥まで伸びる梁)」の内側に新しい鉄骨梁を増設します。この新しい梁が、弱った胴差鉄骨に代わって床全体を支えるように、新しい骨格を作っていきます。長さ10mに及ぶ梁がたわまないよう、補強材(スチフナ)も組み込み、強度を確保します。

ガレージの通し梁を増設、胴差鉄骨を撤去

新しい通し梁が設置された後、役目を終えた古い胴差鉄骨は撤去します。

鉄骨ガレージの構造ライン

増設した鉄骨梁を、既存の健全な「柱」や「横梁」と溶接で連結。これにより、ガレージに新たな骨格(構造ライン)が生まれ、強度が復活します。

※この工法がすべてのケースに対応するものではありません。それぞれシチュエーションにあ合わせて工法を考える必要があります。

【実践】修繕工事 ~床の安全確保をする~

古い床材を撤去したあと、床を支える下地の鉄骨を作り直します。

参考:鉄骨ベランダのギシギシ音は危険信号

鉄骨ガレージの床デッキ工事

頑丈になった下地の上に、新しい床デッキ材を張り直します。これで、安心して洗濯物を干したり、荷物を置いたりできる安全なスペースが戻ってきました。

参考:タキロン 床デッキ材の電子カタログ

【実践】修繕工事 ~修繕効果を維持する塗装~

塗装工事 ケレン風景

鉄骨修繕工事において、塗装は単なる「仕上げの色塗り」ではありません。鉄骨の酸化を防ぎ、修繕効果を長期に維持するための工程です。特に塗装前の下処理の精度が鉄骨寿命に大きく影響します。

もし短期の延命であれば、オイルペンキで簡単に済ますこともできます(オーナー様が塗装して工費節約することもあります)が、10年、15年、それ以上・・とお使いになる展望がある場合は、必ずケレン作業(鉄部表面の錆びと弱った旧塗膜を除去する作業)のうえ、防錆塗膜、ウレタン塗膜を施すことをお勧めします。鉄骨の耐久性に明らかな差が出ます。

塗装工事 防錆塗装とウレタン塗膜

塗装工程は防錆塗装(下塗り)、ウレタン塗膜1層目(中塗り)、ウレタン塗膜2層目(上塗り)と3層のコーティングをします。

塗装工事 ウレタン塗膜

紫外線や風雨に強いウレタン塗料を2層に重ねて塗装完了です。厚い塗膜が、鉄骨を長期にわたって保護する「鎧」の役割を果たします。

【実践】修繕工事 ~付帯設備の刷新~

鉄骨ガレージの側面(目隠し撤去)

ガレージ側面の、古くなった目隠し波板して、こちら下地鉄骨を作り直しました。

鉄骨ガレージの側面波板の交換工事

ガレージ側面は骨格と付帯設備が刷新されて、とてもキレイになりました。鉄部塗装色と波板を同じ色相のブラウン基調にしたので、ガレージ全体がすっきりと引き締まった印象になりました。

鉄骨ガレージ、修繕完了。

修繕後の鉄骨ガレージ(1) 修繕後の鉄骨ガレージ(2) 修繕後の鉄骨ガレージ(3)

修繕を終えたガレージは、築40年近い建物の一部として復旧できました。

高額な費用をかけてすべてを交換するだけが解決策ではありません。建物の残りの寿命を参考にして、適切な「延命修繕」を行うことで、コストを抑えながら資産価値を維持することができるかもしれません。鉄骨ガレージのサビ腐食で修繕をご検討のオーナー様、ご連絡ください。

参考:ガレージ天井のデッキプレート腐食を補強する工事

この記事を読んでいただきたい方: ガレ...

要約Q&A

Q:修繕工事の賢い相見積のとりかたは?
A:オーナー様と業者との間で「この設備をあと何年使いたいか」という修繕のゴールを共有すると、業者による「問題提起と解決手段と効果と今後の計画」のシナリオに基づいた見積になるので、オーナー様はこれらを効率的に見比べることができます

Q:今回の延命修繕によって、ガレージはあと何年くらい延命できるの?
A:骨格補強と3層の保護塗装によって、10年〜15年程度の延命が期待できます。※鉄部塗装は7年前後の塗り替えが必要です

Q:この工事はどのくらいの時間がかかった?
A:工場加工も含めて、2~3週間です

Q:修繕工事の費用相場は?
A:工事内容によりますが、丸ごと交換することと比べて、3分の1から半額程度で完了できないと意味がないと思っています

Q:修繕を依頼する前に、何を準備しておけば良い?
A:「あと何年くらい使いたいか」「どこを中心に修繕を進めたいか(安全性、見た目、コストなど)」「今後どのように使いたいか」の3点を明確にしておくと、業者との話がスムーズに進み、ご自身の希望に沿った現実的な修繕プランを立てやすくなると思います